本物のニュースと見せかけ、SNS(交流サイト)などを通じて拡散する虚偽の情報が「フェイクニュース」だ。欧米だけでなく日本でも社会問題となっており、対策のためには多くの個人や企業・団体の関与が必要とされる。

(日経ビジネス2017年10月16日号より転載)

松田 美佐[まつだ・みさ]
中央大学 文学部教授

1996年東京大学大学院人文社会系研究科博士課程満期退学。2008年より現職。近著に『うわさとは何か』(中公新書)、『ケータイの2000年代』(共著、東大出版会)。

 「フェイクニュース」が世界的に大きな注目を集めるようになったのは、米大統領選挙でトランプ氏が当選したことがきっかけだ。

(写真=ZUMA Press/アフロ)

 「ローマ法王がトランプ氏を支持している」「クリントン氏も関わっている児童虐待組織の拠点が、ワシントンのピザレストランにある」など、事実に反する情報がSNS(交流サイト)などを介して爆発的に拡散していた。

 こうしたトランプ氏に有利に働くフェイク(虚偽の)ニュースが同氏の当選に一定の役割を果たしたのではないかと注目を集めたのだ。実際、虚偽の情報を信じた人物が銃を持ち、当該のピザレストランに乗り込むという事件も起きている。

都合の良い情報だけを選別

 フェイクニュースが関心を集める理由は、欧米での選挙結果(英国の欧州連合離脱国民投票や仏大統領選)に影響を与えた可能性があったからだけではない。友人・知人のネットワークを通じて拡散したフェイクニュースを信じ、リツイートやシェアした人たちには、その事実性を否定された後でも自らの見解を変えなかった人が少なくなかったことも大きい。