仮想通貨の中で最も規模の大きい「ビットコイン」の価格が上昇していることはご存じの方も多いだろう。また、「アルトコイン」と呼ばれる、ビットコイン以外の仮想通貨も急激に存在感を増している。ビットコインは1年前に仮想通貨全体の8割のシェアを占めていたが、直近では5割近くに落ちている(上の折れ線グラフ参照)。ビットコインの価格が急騰しているのにシェアが下がったのは、「イーサリアム」などアルトコイン相場が上昇したからだ。

半分近くが「ICOのためのICO」
●2017年のICOの目的別資金調達額比率
注: 「CoinSchedule」のデータを基に作成。数値は2017年8月末時点、比率は随時更新される
ビットコインのシェアが急落
●ビットコインとアルトコイン(イーサリアム)の時価総額シェア
注: 「CoinMarketCap」のデータを基に作成

相場下落でICOは消える

 ビットコインを購入する理由には投資のほかに決済手段として使いたいという実需もある。ただ、肌感覚として使い勝手は良くない。冷蔵庫を買いたいと思った時、各機種の性能を比較しつつビットコインの相場も気に掛ける、というのは現実的ではないからだ。

 最もメジャーなビットコインですらこうなのだから、アルトコインに決済手段としての実需がないのは言うまでもない。これまで実需がなかったアルトコインに実需が生まれた要因が独自の仮想通貨を必要とするICOだ。ただ、既に述べたように、ICOの人気の背景には、プロジェクトの実現性も法的なお墨付きも伴っていない。

 投資家側がICOでトークンを購入するメリットを強いて挙げるなら、「プロジェクトで作ったゲームの中で、購入したトークンが使える」「商品を先行予約できる」といった権利が付いているものがあること。ただこれも、ゲーム内で課金したり商品を予約したりするかどうかは少なくともそのゲームや商品が完成してから考えればいいことだ。つまり人気を支えているのは、アルトコイン価格が上昇しているという値動きだけなのだ。

 今後の相場を正確に読むことは難しいが、無限に価値が上昇していくものなどこの世に存在しない。アルトコイン相場が下落基調に入れば、ICOを支えるものは何もなくなりいずれ消えていくだろう。ICOのルールを厳格化しても解決策にはならない。厳しくすれば、そもそもIPOと変わらなくなってしまうからだ。

 投資家に対し明確な見返りを設定するなどしないと、今後出てくるICOプロジェクトは調達目標額に到達しないケースが増えてくるだろう。