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 ラグビーワールドカップは全国12の都市で試合がある。期間は1カ月半とオリンピックなどに比べて長丁場で、試合数は予選と決勝を合わせて48ある。まず、約200万人と想定される訪問者(うち海外からは41万人)の宿泊費や飲食費、交通費などで1422億円の直接効果が見込まれる。さらに、これに伴って誘発される財やサービスの生産額など間接効果が908億円となる計算だ。

 ラグビーワールドカップの特徴は観客に比較的富裕層が多いことだ。彼らが試合を観るため、日本の各地を訪問することになる。各都市では大会期間中に観光消費単価のアップが期待されるが、当然、ここで終わらせるべきではない。富裕層はインフルエンサーであることが多く、SNS(交流サイト)で自ら発信してくれる可能性も高い。日本中の街を世界にアピールできる、絶好のチャンスととらえるべきだ。

 JTBは英国のホスピタリティ専門会社スポーツトラベル&ホスピタリティグループ(STH)と合弁会社を設立し、富裕層向けのスポーツ観戦パッケージを展開する。観戦チケットと併せ、会場で様々な付帯サービスを提供するようだ。選手と直接触れ合う機会を設けるなど、非日常感を演出する取り組みも広がるはずだ。地域、企業、組織委員会などが一体となって、例えば、選手を招く朝食会を企画するなど、付加価値の提案ができないだろうか。

 医療・健康の分野でも、地域への産業の浸透が期待される。ラグビーのトップチームには、選手のケアをするチームも同行する。彼らは運動による予防医学のプロだ。大会終了後、スポーツ医学などを地域にレガシーとして残すことができれば、大きな課題である健康寿命の長期化など高齢化社会への対策につながるかもしれない。

 20年にはオリンピック・パラリンピックが控えている。大イベントが続くことの意味は大きい。誘客・送客関連やデジタル分野では、ラグビーW杯での経験や反省をさらに規模の大きな五輪で生かすことができる。当行では五輪の経済波及効果は算出していないが、東京都は直接的効果、レガシー効果を合わせ全国で32兆円規模の経済波及効果が見込まれると発表している。

日本は小売り・サービスに商機
●スポーツGVAの内訳
注 : 日本政策投資銀行まとめ、いずれも2011年、1ポンド127.934円で計算