国内のIT投資は増加しており、特に業務プロセス効率化への関心が高まっている。RPAの特徴を生かして効率化するには、従来のITツールとの違いを知る必要がある。

(日経ビジネス2018年9月10日号より転載)

福原 英晃[ふくはら・ひであき]
野村総研
ソリューションプリンシパル

1999年慶応義塾大学大学院理工学研究科修了。同年、野村総合研究所入社。RPAやAIを使った業務改革のコンサルティングを担当。2015年から現職。

 国内のIT(情報技術)投資が増加しており、特に業務の効率化に対する投資への関心が高まっている。日本情報システム・ユーザー協会の「企業IT動向調査2018」によれば、2018年度のIT予算の予測は過去10年間で最も高い伸び率で、中でも関心が高いのが業務改革だった。全体の約6割の企業は、投資対象の優先度の1~3位を「業務プロセスの効率化」と回答している。

 働き方改革の推進という社会的な要請からも、企業で業務を自動化・省人化する機運が高まっている。こうした背景から、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)というツールが特に注目されている。

 野村総合研究所の調査では、国内のRPA市場は23年度には約327億円と、年平均成長率50%を上回る成長が続く見込みだ。

 RPAはパソコンの操作を自動化するツールだ。技術そのものは新しくないが、フローチャートを描くようにして自動化の仕組みを開発できるようになり、操作性が大きく改善したことで注目を集めるようになった。

 パソコンの操作であれば原則としてどのような操作にも適用できるため、RPAは自動化・省人化の上で応用できる幅が広い。既に大企業において初期の需要が一巡し、中堅企業への普及や、導入済み企業のさらなる利用拡大が進みつつある。

働き方改革の後押しで成長へ
●国内RPA市場の予測
出所:ITナビゲーター2018年版
利用料と開発コストの安さから、市場が急速に成長
(写真=KTSDESIGN/SCIENCE PHOTO LIBRARY/Getty Images)

2つのRPA導入アプローチ

 RPA導入のアプローチには大きく2種類ある。一つは情報システム部門主導による導入パターン、もう一つはユーザー部門の主導によるパターンだ。

 前者が採用されるのは、多くの従業員が長時間実施していた業務を自動化するなどのケースで、開発するロボット1体当たりの省人化効果が大きい業務が対象になる。着実でリスクの少ないRPA導入が可能だが、自動化・省人化の対象範囲や展開スピードが従来のITシステムとあまり変わらない。