在留外国人の処遇法を

 こうした状況を打開するためには、まず国が外国人の処遇を法律で定めることが必要だ。法律によって国の姿勢を明確にすれば、地方自治体も外国人への対応に必要な費用を手当てしやすくなる。日本での暮らしに欠かせない日本の生活習慣や日本語について学ぶ場の提供も可能になるだろう。

 既に諸外国では、出入国管理に関する法律とは別に、国として外国人の処遇や統合に関する法律や規則を制定している例がある。

日本は公用語の学習制度が整っていない
●各国の公用語学習制度
注:自治体国際化協会の資料を基に筆者作成

 たとえばドイツは「滞在法」という法律で、1年以上のドイツ国内滞在許可を有する、または既に18カ月以上の滞在許可を有する外国人に対して、ドイツ語の学習を600時間、ドイツの法律や歴史、文化を60時間学ぶことを法律で定めている。

 ドイツ語能力と、ドイツでの生活の基礎知識を持つことが社会参加の必要条件であることを外国人に示しているのだ。一連の学習にかかる費用は公費のほか、一部は自己負担で運用している。

 隣の韓国では07年に「在韓外国人処遇基本法」、08年に「多文化家族支援法」を制定した。こうした法律に基づき、韓国では全国200カ所以上に「多文化家族支援センター」という公営の施設が設置され、ここで韓国語を学ぶことができる。

 外国人に学ぶ場を提供することは、外国籍、あるいは国外にルーツをもつ子供の進学機会の拡大や貧困の阻止、治安の維持、地域社会への参画などにつながる。一時的には費用がかかるが、中長期的にみれば、社会保障費の削減や納税者の増加など、コスト面でも社会的なメリットが大きいだろう。

 人口減少時代に入り、日本社会は外国人なしでは成り立たなくなっている。外国人と共生できる社会を実現できるかどうかは、日本の社会機能の存続をも左右する重要な課題だ。

 日本人と外国人が一緒に社会をつくっていくために、政府とともに国民も、中長期的な問題意識でこの現実に目を向けることが必要だろう。

(構成=長江 優子)