少子化の真因は、とりわけ男性で目立つ未婚率の上昇と、晩婚化だ。子育て支援策の不足だけではない。男女とも未婚率が増える一方、「再婚」夫婦が婚姻の4分の1を占める。原因を認識し、抜本対策が必要だ。

(日経ビジネス2018年7月30日号より転載)

天野 馨南子[あまの・かなこ]
ニッセイ基礎研究所 生活研究部研究員
1995年、東京大学経済学部卒、日本生命保険入社。99年にニッセイ基礎研究所出向。専門分野は、少子化対策・女性活躍推進など。

 今年6月に発表された2017年の合計特殊出生率(1人の女性が一生の間に産む子供の数の理論値)が1.43と2年連続で下がった。05年に最低の1.26を記録して以後、緩やかに回復してきたが、再び下落に転じた。だが、日本は対策の根本となる少子化の事実認識自体が危ういと言わざるを得ない。少子化対策はまずそれを正してから取り組むべきだろう。

(写真=PIXTA)
(写真=PIXTA)

 下のグラフは合計特殊出生率と完結出生児数の推移だ。完結出生児数とは、結婚後15~19年たった夫婦の平均の子供数である。いわば夫婦の最終的な平均子供出生数だ。

夫婦間では子供は2人近く生まれている
●夫婦間の子供数と合計特殊出生率の推移
夫婦間では子供は2人近く生まれている<br /><small>●夫婦間の子供数と合計特殊出生率の推移</small>
出所:ニッセイ基礎研究所の資料を基に本誌作成

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