預託された個人情報を活用して消費者に便益を返す「情報銀行」の認定制度が今秋にも始まる。ビッグデータ関連産業を振興するのが国の狙いだが、消費者からの信頼を得るには、個人の権利保護が前提だ。

(日経ビジネス2018年7月23日号より転載)

森 亮二[もり・りょうじ]
知法律事務所 パートナー弁護士
1990年、東京大学法学部卒業、97年に弁護士登録。米ニューヨーク州の弁護士資格も持つ。内閣官房の「パーソナルデータに関する検討会」の委員も務めた。
精緻な個人情報の、経営資源としての重みが増している(写真=Yuichiro Chino/Getty Images)

 「現代の石油」ともいわれるデータに関連する市場が拡大を続けている。調査会社のIDC Japanは、2021年のビッグデータ分析に関連する国内の市場規模が1兆4818億円に達すると予想。とりわけ、広告やマーケティングなどでは、消費者像を的確に描くことのできる精緻な個人情報が、経営資源として重みを増している。

データ市場は右肩上がり
●国内ビッグデータ関連市場規模

 政府の新たな成長戦略「未来投資戦略2018」も、個人情報の利活用を掲げており、具体的な施策の一つが「情報銀行」だ。まず、クレジットカード会社や銀行、EC(電子商取引)サイトなどが所有している個人情報を、一つにまとめて消費者自身が管理できる「パーソナルデータストア (PDS)」と呼ばれる仕組みを構築する。