一人暮らしの高齢者の増加に伴い、「シニア婚活」が盛り上がりを見せる。価値観の相違や家族の理解など課題も多いが、医療費や介護費高騰を解決する一助になり得る。

(日経ビジネス2018年7月16日号より転載)

小谷 みどり[こたに・みどり]
第一生命経済研究所 主席研究員
奈良女子大学大学院修了後、ライフデザイン研究所(現第一生命経済研究所)入社。2012年から現職。博士(人間科学)。専門は生活設計論、死生学、葬送問題。

 6月1日に発表された、プロ野球福岡ソフトバンクホークスの王貞治球団会長の結婚。78歳という高齢での結婚に驚いた方は多いのではないか。有名人では、5月に作家で元東京都知事の猪瀬直樹氏(71歳)も婚約を発表し話題を集めた。

 「有名人だから何歳になっても結婚できる」と受け止めた方もいるだろう。だが、シニアや中高年の結婚は珍しいことではなくなりつつある。厚生労働省の人口動態統計の調査では、50歳以上で結婚した人は2000年ごろから急増している。

 こうした動きを受け、シニア層が新たなパートナーを探す「シニア婚活」が活況だ。オーネットは13年から男性が50歳以上、女性が45歳以上の中高年以上をターゲットにした婚活サービス「楽天オーネットスーペリア」を開始。日本健康管理が運営する、「30過ぎたら茜会。」というキャッチフレーズが有名な茜会も、50代、60代の中高年やシニア向けの婚活パーティーが主流になっている。もはや、「シニア婚活」は珍しいことではない。

一人暮らし高齢者が急増

(写真=アフロ)

 シニア婚活のニーズが高まっている背景にあるのが、一人暮らしをする高齢者の増加だ。総務省の国勢調査によると、一人暮らしをする高齢者の数は15年に全国で約592万人(男性が約192万人、女性が約400万人)になった。65歳以上人口に占める割合は、男性が13.3%、女性が21.1%となり、1980年(男性4.3%、女性11.2%)に比べて飛躍的に高まった。国立社会保障・人口問題研究所は、一人暮らしの高齢者の割合が2035年に男性で16.3%、女性で23.4%になると推計しており、この流れはさらに勢いを増すだろう。

 30年以上前と比べて、65歳以上の世帯では3世代同居が減り、核家族化が一気に進んだ。1980年に5割を占めていた3世代同居は、2015年には12.2%にまで減少した。夫婦のみの2人暮らしが最も多く31.5%を占める。配偶者に先立たれることで、「バツ1」ならぬ「ボツ1」となる一人暮らし高齢者が増えている。

 1990年以降は熟年離婚も増加した。厚生労働省の人口動態統計によると、2012年に50歳以上で離婚した人は、男性で3万5866人、女性で2万2747人だった。1970年からの40年間で10倍以上に増加した。