障害年金の支給審査体制の変更で、1000人程度が支給打ち切りの対象となった。障害の程度と経済的ニーズとの間に必ずしも相関はなく、就労と組み合わせるなど、新たな仕組みが必要だ。

(日経ビジネス2018年6月25日号より転載)

山村 りつ[やまむら・りつ]
日本大学法学部 公共政策学科
専任講師

1977年生まれ。横浜国立大学教育学部卒業後、企業勤務などを経て同志社大学大学院社会学研究科博士後期課程修了。2014年から現職。専門は福祉政策、障害者政策

 5月末、日本年金機構が障害基礎年金の受給者約1000人に対して障害の程度が軽いと判断し、支給打ち切りを検討していることが明らかとなった。国の年金財政が厳しくなる中、年間約2兆円の支払いが発生している障害基礎年金に対してもついにメスが入ったと、メディアでも大きく報道されたのは記憶に新しい。

 障害基礎年金は、20歳になる前、もしくは国民年金加入後に病気やケガで一定の障害を負った人に対し、その人の生活を支えるために支給される公的年金の一つである。障害の程度により、1級、2級に区分される。1級は月額約8万1000円、2級は約6万5000円が支給される。厚生年金に加入していればこれに障害厚生年金が上乗せされる。2級に該当しない軽い障害の場合は、障害基礎年金はゼロだが、3級の障害厚生年金が支給される。

障害の程度によってもらえる金額が変わる
●障害年金の仕組み
注:金額は月額

 障害年金の受給者は年々増加の傾向にある。高齢化社会の到来に伴う、障害者の高齢化の進展、うつや統合失調症といった現役世代の精神疾患が増加していることなどが背景にある。2016年度の障害基礎年金と障害厚生年金を合わせた障害年金受給者の数は200万人を超えた。

受給者は200万人を突破
●障害年金受給者の推移
注:障害基礎年金のみの受給者と障害厚生年金受給者の合計
出所:厚生労働省

 障害基礎年金打ち切りの背景にあるのは、年金機構の審査体制の変更だ。これまでは、各都道府県事務センターが支給資格の審査や判定をしていた。しかし15年の調査で、不支給判定の割合などに最大6倍の地域間格差があることが判明した。審査基準や方法は同じだが、地域ごとの運用体制にばらつきがあったために格差が生じていたのだ。

 この問題を是正すべく、業務を東京に一元化した結果、支給停止に該当する人が出てきたのである。無論、逆のパターンもあるわけで、不支給だった人が支給される場合もあるだろう。