訪日外国人の地方分散に

 会場の構成やデザインにおいても、若手の建築家やデザイナーの起用が見込まれる。70年万博では、手塚治虫氏、ちばてつや氏といった漫画家も活躍している。夢洲はまだ整地されておらず、これから埋め立てる場所も多い。ゼロからのスタートというのもまた、回ってくる仕事量が多いということだろう。

 もう1点、大阪での万博開催の意義として挙げたいのは、一極集中からの脱却という観点だ。2020年に東京で五輪・パラリンピックが開催されることで、首都圏への人・モノ・カネの集中が加速している。関東平野は人を収容する力はある。ただ、過度な集約には、安全保障上の問題や大規模災害といったリスクが付随する。大阪や福岡など複数の都市、地方の有効資源をフルに活用することが、長い目で見たときの日本の国力引き上げにつながる。

 万博のいいところの一つは、サテライト会場だ。大阪から入って、サテライトがある地方の会場に行くといった人の流れができれば、訪日外国人の全国への分散化にもつながる。そういったところで、例えば、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)の技術を活用すれば、地域への関心が深まり、リピーターとなる可能性もある。

 万博の開催地を決めるのは加盟国による投票だ。ただ、大阪に来るか来ないかでは、チャンスという面で大きな違いが出てくる。万博は五輪・パラリンピックと違い、半年間の長丁場。春〜夏〜秋を網羅するわけで、全国を対象とした広域観光ルートが一層効果を発揮する。

 日本全体の景気を見る上では、25年は節目の年となる。最も人口の多い団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり、財政再建も待ったなしになる。人材不足や部品不足といった供給サイドの制約も、景気の足を引っ張る要因となるだろう。ロボットやAI(人工知能)を取り入れている企業もあるが、どこまで普及するかは未知数な面がある。

 万博は何十年も先の未来の社会を表すものとされている。だとすると社会的な「実験」に他ならない。しかも、世界から来場者があり、企業が集まる。

 日本やアジアの将来を支える若手人材の発掘、地域社会の有効資源の活用などの機会と位置付ければ、潜在的な経済効果への波及度は高い。

(構成=北西 厚一)
万博は「社会実験」の場でもある
●大阪万博と最近の万博の概要
開催地 テーマ 入場者数 会場面積
1970 日本・大阪 人類の進歩と調和 6421万人 330ha
2000 ドイツ・ハノーバー 人間・自然・技術 1800万人 160ha
2005 日本・愛知 自然の叡智 2205万人 173ha
2010 中国・上海 より良い都市、より良い生活 7308万人 328ha
2015 イタリア・ミラノ 地球に食料を、生命にエネルギーを 2150万人 110ha
2020 アラブ首長国連邦・ドバイ 心をつなぎ、未来を創る 2500万人 438ha
2025 大阪?
※ドバイの入場者は見込み
77カ国が参加した1970年の大阪万博は1日平均35万人の来場者があった(写真=dpa/時事通信フォト)