変革が求められる教育の現場

 学校における教育のプロセスを分解すると、「教える」業務には講義以外に教材の用意や試験問題の作成、単位や資格の認定といった多くの作業がある。

 「教える」業務の前後には、成績管理や学校行事の準備、学級会計などの校務と呼ばれる事務作業が存在する。これら校務は一般企業で使われている業務システムのようなICTの導入によって効率化が図られようとしている。

 EdTechの導入で「教える」業務そのものも効率化できる。教材の作成や学習内容の提示、学習活動の成果をテストなどで測るといった業務は、デジタル教材が自動で実施するようになる。

 EdTechが目指している教育方法とは、学習者の現状を正確に把握し、個々の学習者の進捗に合わせた学習コンテンツを提供したり、指導方法の改善に役立てたりすることだ。これは、熟練の教育者であれば意識的、あるいは無意識的に行っていることであり、EdTechは教員の経験の差によらずに質の高い指導を効果的に実施できるというメリットがある。

 ICTによって教える能力が均質化するならば、教員に求められる役割は、学習のサポートをすることになる。学習を継続するためにモチベーションを維持する施策を打ったり、相談に乗ったり、そのような活動を通して人間らしさや多様性を育む存在となる。

 従来の教育はモノの生産を中核に据えた産業資本主義の時代のもので、優秀な事務職員や技術者を育成するのが目的だった。あらゆる産業でデジタル化が進み、業務の多くがAI(人工知能)やロボットに代替される将来は、人間らしさや創造性、多様性を育む教育が大切になる。

 そのような教育を実施するために、ICTを使いこなしながら、一方でメンターの役割を担うような、新しい教育者像が期待されている。