一方、残業削減をトップダウンで目標に掲げれば、かえってサービス残業として「地下に潜る」リスクがある。そこでSCSKは全社員を対象に「サービス残業アンケート」を実施。サービス残業を強いられていないか、暗黙のうちに付け控えを奨励するような雰囲気になっていないかなどを問い、問題がありそうな部署には社員から部門長まで人事からヒアリングをかけた。同時に入退室記録も照合し、サービス残業が判明したら必ず遡及して残業代を支給した。

目指すべき方向は1つ

 さて、こうした施策によるメリットとデメリットを天秤にかけるとどうなるのだろうか。

 売上高や利益の目標を妥協しているわけではない。会社が負担する人件費は、これまでも残業代が発生していたのだから理屈の上では横ばいだ。首尾よく残業が減れば光熱費なども削減できる。社員の健康増進にも寄与するし、活気ある働き方をしてくれる可能性が高い。短時間で効率よく働ける職場環境を作れば、育児や介護を抱えた社員の退職も抑制できる。

 デメリットとしては、サービス残業の実態が明るみに出ることによって、一時的に人件費が増える可能性があることか。だが、そもそもコンプライアンス問題を抱えている状況を放置するよりはマシなのではないか。何より、社員も経営者も鬱々とした気持ちで働く企業に、未来があるとは思えない。

 もっとも現実は複雑だ。すべてが上記のような理屈で割り切れるものではないだろう。だが、働き方の問題に関して、どの企業も目指すべき大きな方向性は同じはず。あなたの会社はどちらの道を選択するだろうか。

 最後に、アンケートに寄せられたコメントを1つ紹介したい。

 「長時間残業をしていた頃、子供の運動会を見に行ったが、疲れていて校庭の隅でずっと寝ていた。ああいう生活には戻りたくないし、誰にもあんな風にはなってもらいたくない」