6割が「サービス残業」

 調査では6割以上の人が出勤簿につけていない、時間外労働時間があると回答。「サービス残業」が横行していることが浮き彫りになった。中には月間120時間以上を出勤簿につけていないケースまであった。残業をしているのに残業代を支払わない「サービス残業」は違法行為だし、労働時間をきちんと管理しなければ企業として安全配慮義務を怠っていることにもなる。

6割以上が「サービス残業」
●出勤簿につけていない月間時間外労働時間

 労働者側が「空気」を読んで、残業を申請しないケースもあるだろう。だが、残業を出勤簿につけようとしたが、明確に拒否された人も25.7%いる。

 会社はどのような理由で拒否したのか。その問いに対する答えには、目を疑うような上司のセリフが溢れていた。

 「残業をつけるならば、評価を下げる」「価値が出せたと思う分だけつけて」「残業とかじゃなくて自主勉強時間だよね」「会社が残業代を払える状況にない」――。

 どれ1つとっても正当性が感じられない。コンプライアンス上の問題を抱えている企業が少なくない、危うい現状が浮き彫りになる。

 日本に巣食う長時間労働問題。だが残業時間の削減は、実は経営から見てもっとも手をつけやすい分野だ。抵抗勢力が「ほとんど」いないからだ。

 長時間労働が横行していることで知られるIT業界に、お手本となる企業がある。SCSKだ。残業時間を大幅に減らしながら、2015年度まで6期連続で増収増益を達成した。

 2009年に住友商事からSCSKトップに転じ、働き方改革を主導したのは中井戸信英氏(現在は相談役)。社員の労働状況の過酷さに驚いて、残業時間削減を決意した。「残業代を減らした分は、すべて社員に戻す」と宣言し、実際に賞与などの形で部門ごとに達成度合いに応じて還元した。(参考記事:残業しない人に残業代を払う会社

 さきほど「ほとんど」と書いたのは、時として社員が抵抗勢力になる場合があるからだ。長時間労働が常態化した企業では、残業代が事実上の生活給になっているためだ。その現実を踏まえた中井戸氏の施策は社員の心を捉え、全社が一丸となって残業時間削減に向かう流れを生んだ。立ち会議やムダな資料作りや会議をなくすといったアイデアが現場から次々に生まれてきたという。