大企業の若手・中堅有志が集う団体「One JAPAN」。パナソニックや富士ゼロックス、NTTグループ、トヨタ自動車、ホンダ、JR東日本、富士通、日本郵便など名立たる大企業の有志が、参加団体としてずらりと並ぶ。

彼らはみな、「大企業病」を憂う。「新しいことをやってはいけない空気」「イノベーションを起こせない空気」の中でもがき、悩む。その打破を狙う。

「ただ、集まっただけでは何も変わらない」「企業に対して意見を言うばかりで『第二の労働組合』に過ぎない」「ずっと前から同じような取り組みはあった。今さら注目する必要はない」。当初、彼らに対して、こんな辛辣な批判があったことは確かだ。

2016年9月の発足から1年。その批判は徐々に応援に変わりつつある。企業によっては、若手有志に過ぎなかった活動を経営陣が認め始め、応援どころか事業化のプロセスを歩み始めた。

野村総合研究所と旭硝子を例に、経営トップが若手に向き合い始めた現場を追った。

(文中敬称略)

 「飯でも食いに行かないか」

 野村総合研究所の若手社員、瀬戸島敏宏に同社経営陣から連絡が入ったのは、2015年11月のこと。「何の話だろう」。急な誘いに対し、瀬戸島は何を言われるのか想像さえできなかった。

 「若手だけでプロジェクトをやってみないか」。本題は経営陣から若手に対する提案だった。「若手スタートアップチャレンジ」と同社内で呼ばれるプロジェクトだ。

 それまで瀬戸島を含む同社の若手は、ハッカソンやスタートアップとのマッチングイベントである同社主催の「bit.Connect」の事務局として活動していた。2013年に企画し、以降毎年続けている。

 同社にはIT(情報技術)スキルの高い若手が集まるが、業務の多くはプロジェクト・マネジメントであり、実際に手を動かしてアプリを作ったり、ITデバイスを使ったりするケースは少ない。だからこそ自らハッカソンを企画し、若手が応募して実力を試す機会を作った。スタートアップにも門戸を開き、見本市である「CEATEC」などとも連携するなど、ある一定の盛り上がりを見せていた。

 一方で、経営陣には危機感があった。