One JAPANから生まれた“ロボット”

 「ゆっくり深呼吸をしてください」。設置されたロボットの語りに従って、体験者がリラックスを始めた。3分間の瞑想の間、ヘッドセットが脳波を計測し、そのデータを計算してスクリーンに映像が映し出された。

 個人の脳の状態をもとに、スクリーン上に「ダリア」や「百日草」、「クチナシ」などの花が咲いていく。体験者の精神状態によって、花の大きさや色味が変化する仕組み。刻々と変わる瞑想の度合いが数字で映し出される。

 このコミュニケーション・ロボット「CRE-P(クリップ)」は、One JAPAN内のコラボレーションで生まれた。東芝の音声認識技術や広告代理店マッキャン・ワールドグループのデザインスキルなどを持ち寄った。ベンチャー企業リトルソフトウェアの感情認識AI(人工知能)などOne JAPAN外の技術も活用する。

 このプロジェクトに、One JAPAN参加企業であるANAも加わった。One JAPANに所属する小野澤綾花(ANAホールディングス)はこう言う。「きっかけはOne JAPANでの何気ない会話だった。クリップの存在を知って、『これならうちの会社でも何かできることがあるんじゃないか』って考えた」。上司に提案して、数ヶ月でブース展示までこぎつけた。

 ANAグループは飛行機に乗った後も疲れない「乗ると元気になるヒコーキ」プロジェクトを進めている。マインドフルネスの活用はこのプロジェクトの一環である。

 ANAがマインドフルネスを実際に機内に取り入れるかは未定だが「体験会などをうまく使って、消費者からのフィードバックをデータとして溜めて行きたい」と小野澤は話す。

 小野澤の上司であるANAホールディングスデジタル・デザイン・ラボの津田佳明チーフ・ディレクターは「我々の部署は既存事業にとらわれずに新しい挑戦をするのが役割。他社とのコラボレーションを含め、部下には『とにかく自由にやってくれ』と言っている」と話す。こうした企業の姿勢とOne JAPANの自由な議論が、うまく噛み合い始めた。

 クリップだけではない。One JAPANが大企業同士の技術を結ぶ存在として機能した例は他にもある。