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強制移住と同化政策

 ここまで彼らの問題にフォーカスしてきたが、米政府の罪ももちろん大きい。彼らにある種の負け犬根性が染みついた理由の大半は、この国の歴史にある。

 18世紀の米国戦争(1775~1783年)以降、白人入植者は豊かな土地を求めて西に向かった。その過程で抵抗する部族は徹底的に排除、オクラホマ州など西部の居留地に押し込め、白人社会に同化させる政策を取った。第7代米国大統領、アンドリュー・ジャクソンが署名したインディアン移住法は一つの結末である。

 その後、ミシシッピ川以東のインディアン部族の西部移住は加速したが、白人による西部開拓の圧力が高まるにつれて、政府による土地の没収や農場主による借り上げなど居留地を蹂躙する動きも相次いだ。「不可侵の領土」として政府が保証したにもかかわらず、金鉱が見つかったために居留地の多くを没収されたスー族は典型だ。

 連邦政府の強制移住と同化政策によって、インディアン部族の多くは牙を抜かれ、自分たちのアイデンティティを失った。

 数千年にわたってソノラ砂漠で暮らしていたトホノ・オーダムは、強制移住とは無縁だったものの米国の居留地政策によって“領土”は大幅に縮小した。19世紀後半から20世紀初頭の3度の大統領令によって居留地を拡大したが、当初の居留地は現在の10分の1に過ぎなかった。

 わずかな年金と引き換えに、自分たちが生きてきた土地や尊厳、アイデンティティを奪われた敗者としての過去--。それが貧困や教育、依存症などの根源にある。国家に翻弄される状況は今も昔も変わらない。

トホノ・オーダム族の墓地(写真:Retsu Motoyoshi)