アメリカ国境のリアル

取材・文
篠原 匡 長野 光

太平洋岸のサンディエゴからメキシコ湾岸のブラウンズビルまで、米国とメキシコを分かつ3000キロ超の国境線。1日に100万人以上が往来する北米の経済と社会の大動脈である。その「国境」が米国の政治や経済、社会の最重要課題に浮上したのは、あの男がホワイトハウスを奪取してからといっていい。第45代米国合衆国大統領、ドナルド・トランプである。

トランプ大統領が主張する壁の建設はまだ実現していないが、ビザ取得の厳格化や関税の導入によって既に仮想の壁を構築しつつある。現在、米国と世界を揺るがしているイシューの震源地は紛れもなく国境だ。

それでは、国境では何が起きているのか。それを知るべく取材班は国境沿いのコミュニティを訪ね歩いた。国境に生きる人々の悲喜劇と、国境を舞台に繰り広げられる人間模様。そこから透けて見えるのは、アイデンティティを求めるさまよう人々と今のアメリカそのものだった。

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