経営幹部の顔つきが変わってきた

日本人はドラスティックな変化を好まないような気がします。現場に戸惑いはなかったのでしょうか。

:組織を刷新した直後は確かにあったのかもしれません。ですが成長していくためには意識を変えるしかなかった。責任が明確になったことで経営幹部も含め、顔つきが変わっています。事業部長の中には一人ひとりが経営者という意識が芽生えてきています。

買収から1年が経ちましたが、商品開発面などで変化は出てきていますか。

:商品開発を事業部の直轄体制にしました。本社にぶら下がるのは、数年先を見据えた要素技術の開発部門だけです。

 かつては商品開発では様々な部門での相談が必要で、最終的に誰が判断するのかが不明瞭な部分もありました。体制を変えてからは、事業部だけの判断で全てを決定できるようになりました。少なくとも開発に関しては、スピード感が格段に高まっていると感じています。

 (東芝時代のリストラもあり)開発人員は不足しています。足りない部門には1~2割程度人員を増やしていきます。開発費や宣伝広告なども必要であれば振り向けます。

美的と東芝ライフスタイルの連携は進んでいるのでしょうか。

:1年だけで、美的と東芝ライフスタイルの間で50を超える共同開発プロジェクトが進んでいます。ボツになった企画もありますがすでに10商品が誕生しました。例えば今年7月に中国に市場投入したオーブンレンジなどがそうです。

 美的と東芝とでは、文化や得意な技術力、開発のスピード感などあらゆるものが異なります。現場では両社の開発陣が日々議論を重ねています。

 ただし、まだ1年しかたっていません。昔からパートナー関係はありましたが、一緒に開発するのは初めてなので時間は掛かるでしょう。今後、より明確に効果は出てくるとみています。

あらゆるモノがネットに繋がる「IoT」の流れが家電業界にも押し寄せています。

:東芝ライフスタイルも今年4月に「IoT推進室」を立ち上げました。実は「IoT家電」については、東芝ライフスタイルよりも美的のほうが開発が進んでいますので、こうしたノウハウを逆輸入しようと考えています。まだまだ少人数の組織ですが、美的の研究所と連携し、IoT家電のコンセプト作りを急いでいます。

 現時点ではまだ、具体的な製品化のスケジュールは言えません。IoTについても「これがいける」という商品は出ていません。ですがトライアルは必要です。いかにタイムリーに商品を投入していくかが重要になるでしょう。

 まずはハードウエアにネット機能を入れるのも一つの手でしょう。その後時期が来ればソフトをアップデートしていく。変化にうまく対応していくことが鍵になるとみています。