さらなる壁を乗り越える

 ドロシーの一行にはさらにライオンが加わりました。わらのかかしは脳、ブリキのきこりは心、ライオンは本来あるはずの勇気を求めて、エメラルドシティを目指します。ドロシーはもちろん、故郷カンザスに帰るために。すると、西の魔女はけしの花に毒を盛り、彼らを永遠の眠りにつかせようと邪魔をします。

 このように、障害や邪魔は1回に限りません。せっかく1つの壁を克服しても、もう1つ壁があることもあります。悪いことが立て続けに起こることもよくあります。それに負けないためには、どうしたらいいのでしょうか。

 西の魔女のけしの花の毒によって、まず犬のトトが、次にドロシーが、そしてライオンが眠ってしまいます。かかしと木こりは動物ではないので眠りませんが、2人だけでは彼らを起こせません。このとき、善良な北の魔女がそこに雪を降らせます。そのおかげでドロシーたちは目覚めました。

 つまり、時には他者の力を借りて、壁を克服することも必要なのです。始めからあきらめたり、逃避したりするのではなく、挑戦して失敗したときには、他人に相談したり、力を借りたりすることも必要です。そして挑戦するからこそ、アカウンタビリティを持っているからこそ助ける人が現れるのです。

自分の中の魔女との戦い

 これまで、かかし、木こり、ライオンは、言い訳をして自分の弱点を克服しようとはしませんでした。そのため、ドロシーのエメラルドシティ行きについても、成り行きを見守り、お互いに「自分の仕事ではない」と無視することもできました。また、けしの花は麻薬の象徴ですが、眠り込んでしまえば、エメラルドシティにたどり着けなくても、けしの花のせいにすることもできます。

 ドロシーたちのように、私たちはだれしも、前述の図のライン下へ落とされる重力と戦っています。西の魔女もこの重力の1つなのです。自分の心の中を見回せば、西の魔女のような者がいて、それに対して葛藤を抱いているのではないでしょうか。このことを自覚して、ラインより上にいようとすることが、問題克服への第一歩です。

 そして、図の言葉を借りるならば、「現実を見つめ」ることで本来自分が持っている勇気を取り戻し、仲間を思い励ましながら心から「当事者意識を持ち」、知恵を振り絞って問題に対して「解決策を見出し」、前進して「行動に移す」ことを通して、自分自身の目標達成へと向かうことができます。

補い合うことの重要性

 上述したように多くの障害や壁を克服するには、一人の力では困難なことがあります。そういうときには、年長者や信じられる人の力を借りることも大切です。また、ドロシーたちのように、仲間がいて、それを信じること、そしてお互いに欠点を補い合うことも大切です。

 心や頭がない、命のないわらのかかしやブリキの木こりだからこそ、人や動物が眠り込んでいても、助けようとすることができました。また、ブリキだからこそわらの火を消し止めることができました。

 「暗やみを抜けたら光に向かって進もう!」と、ドロシーたちは、心の底から希望を持って、エメラルドシティのお城を目指します。

 このあとの展開でも、さらに私たちの仕事や生活の中で、学ぶべきこと、人間関係と心理や、どうふるまうべきか、などを考えさせるエピソードが続きます。ぜひお楽しみに。