『オズの魔法使い』の中でも、かかし、木こり、ライオンはそれぞれ脳、心、勇気がないことを悩み、エメラルドシティに旅をしますが、オズの魔法使いに教えられたことは、それを既に持っているということでした。それは、身近なだれかに相談していれば、ひょっとすると解決できたことかもしれません。例えば、ライオンは、勇気がないことを一人で悩むのではなく、周囲の動物たちとコミュニケーションをとれば、知ることができたのではないでしょうか。「怖いライオン、強いライオン」というイメージを守るために、それができなかったのです。

 ミス・ガルチも一方的にトトを悪い犬と決めつけずに、ドロシーに犬をきちんとしつけるように教えたり、自分の農場に連れて来ないように言ったりすれば、問題は生じなかったかもしれません。孵化器が壊れて忙しかったエム叔母さんと叔父さんも、ドロシーにもっと適切な助言をしていれば、家出しないはずです。叔母さんは、「心配しないですむ場所を探せ」と言ったらドロシーが家出したので、寝込んでしまいました。つまり、いずれもコミュニケーション不足だったと考えることもできます。

物語に学ぶ

 この物語は、ちょっとわがままな女の子が、そのために夢の中で冒険をして、大切なことは何かを知り、大人になるという教訓を含んだものであり、子どものために書かれています。しかしそこには、子どもだけでなく大人にとっても、さまざまな教えを見いだすことができます。

 このように、『オズの魔法使い』からは、さまざまなことを知り、学ぶことができました。ぜひともこのことを、みなさんが生かしてください。作家が意図するしないに関わらず、私たちは作品からさまざまなものを読みとっています。この連載がその一助に、みなさんにとってプラスになれば幸いです。ぜひ、時には『オーバー・ザ・レインボー』のメロディとともに、このドロシーの物語を思い出してみてください。

 長期にわたる連載をお読みいただき、ありがとうございました。