ミュージカル映画『オズの魔法使い』を通して、仕事をするうえで参考になる考え方などをお伝えするこのコラム。今回が最終回となります。

 主人公ドロシーは愛犬のトトを飼っているのですが、そのトトがミス・ガルチを噛んで怒らせ、ガルチはトトを連れ去ろうとします。トトを取り戻したドロシーが、「心配しないですむ場所」を求めた結果、夢の国マンチキンに大竜巻で飛ばされ、冒険の物語が始まります。ドロシーは、マンチキンからオズの国へ旅をして、そして故郷のカンザスに戻ってきます。

 この連載の第1回では、ドロシーがトトをミス・ガルチの農場に連れていったことを反省せずに、自分のいるカンザスではない場所を求めたことを問題にしました。そんなドロシーの被害者意識を取り上げて、「責任を引き受ける」ことの意味を示しました。やがて、ドロシーは、オズの国を旅する中で、わらのかかし、ブリキの木こり、ライオンという仲間を得て、協力して北の魔女を倒します。そして、それぞれが求めていたものは、実は最初から持っていたことに気づくのです。この連載の中盤では、魔女の意味やトトの役割など、さらに後半では、求めていたものは最初からあったことにフォーカスしました。

 求めていたものは、かかしは脳、木こりは心、ライオンは勇気でしたが、ではドロシーが得たものは何でしょうか。ドロシーは、ルビーの靴の魔法で、オズの国からカンザスに戻ることができました。そして帰ってくると、かかしもきこりもライオンも、実はエム叔母さんの農園の農夫たち、仲間たちでした。つまり、その仲間との絆を深めることができたのです。ドロシーは、求めていたものが実は身近にあること、本当に大切な場所はカンザスの家であることがわかるのです。そして、家族や仲間たちの大切さも知ることになりました。

 ドロシーは、最初は子どもらしいわがままな被害者意識で、トトのことをミス・ガルチ、つまり他人に責任転嫁していたのですが、その結果、オズの国で冒険をする羽目に陥ります。その試練を乗り越えることによって、「心配しないですむ場所」は外にあるのではなく、身近にあることを知るのです。

身近な問題

 私たちの身近にも同じようなことがないでしょうか。問題が生じると、つい他人に責任を転嫁しがちです。また、現在の生活や仕事などがうまくいかないと、別の場所を求めます。もちろん、別の場所に移ることでうまく行くこともあります。でもその前に、自分と周囲を見つめてみましょう。自分の責任を自覚して主体性を持つことで、自分で状況を切り開くことができるなど、事態が改善に向かうことも多いのです。もちろんいじめのように、こちらに原因がなくても生じる理不尽な問題もあるでしょう。ただ、そのときも主体的な意識と行動は必要なのです。