その傾向は数字にも現れている。国内新車販売台数は、バブル時代の1990年度を境に減少しており、2016年度は503万台と、90年度に比べて3割も落ち込んだ。こうした自動車販売の低迷にも、夜経済の影響が垣間見える。

            
●国内自動車メーカーが取り扱うデートカーの車種数の推移
車種数 主な車種
1990年 28トヨタ自動車・ソアラ、日産自動車・シルビア
2000年 19 マツダ・RX7、三菱自動車・GTO
2010年 5 日産自動車・スカイライン、ホンダ・S2000
2017年 5 ホンダ・S660、SUBARU・BRZ
注)自動車メーカーへの取材をもとに日経ビジネス編集部作成。デートカーは2ドアクーペの価格が500万円以下の車種と定義
国内自動車メーカーが取り扱うデートカーの車種数の推移

 いまでは若者向けデートカーのニーズは薄れている。公共交通機関が発達し、若者が集まる都心部を中心に、地下鉄やバスなどの公共交通機関がより細かく整備された。若者がデートで出かけるようなお出かけスポットの多くは、公共交通機関でアクセスしやすい場所にできることが多くなった。

 『夜遊びの経済学』(光文社)の著者で国際カジノ研究所(東京・千代田)の木曽崇所長は「車で来店することが前提の街の活気がなくなっている。西麻布や三宿がその典型例」だという。夜の西麻布は外苑西通りに路上駐車し、遅くまでにぎわっていた。三宿も大手音楽事務所があったため、芸能関係者が多く三宿で遊んでいた。「飲酒運転の取締も厳しくなり、車でその地域へ行くのが前提のナイトスポットは廃れている」(木曽所長)。

 2ドアクーペは乗車人数が少ないため使い勝手が悪い。人気はSUV(多目的スポーツ車)に移り、残った需要はデートよりも大勢で移動するための道具となってしまった。

 ところが最近になって日系メーカーから、かつて人気を集めたデートカーの新型車の発売が伝えられ始めている。需要が盛り上がれば、ライフスタイルも変わる可能性がある。そうなれば夜経済も復調してくるかもしれない。

 夜の経済は、生産や販売動向と比べると軽んじられるところがある。だが個人消費の重要な指標のひとつ。野村総合研究所グローバルインフラコンサルティング部の波利魔星也副主任研究員は「かつて大企業の城下町で栄えた地域は夜の繁華街も元気だった。海外でも同様の傾向がある」と話す。多くの自治体では地方創生の名のもとに、地方の人口減少に歯止めをかけ、日本全体の活力を高めようとしている。工場誘致といった昼の経済を活性化することと並行して、繁華街の整備といった夜の経済にも目を向けるべきだ。国内は生産年齢人口も減少傾向で、高齢化率が高まっている。残された時間はそう長くない。