「深夜は食事をするお客が多いので客単価も高く、かつては収益の大きな柱だった」と佐々木社長は振り返る。

 ロイヤルホストでは最初のステップとして24時間営業から朝7時開店、夜2時閉店へと変えた。深夜の5時間、店を閉めることになる。売上高は3~4%ダウンする。

 それをカバーするために同時に実施したのが店の改装だ。24時間営業をやめるのは単に営業時間を短くするだけではなく、ランチなど日中の営業に力を入れ、ファミリーレストランの名称通り、家族客の取り込みに力を入れた。同時に禁煙化も進めた。

 「客席を喫煙、禁煙エリアに分煙すると平日は喫煙席が足りず、休日は禁煙席が足りなくなるなど営業効率が悪くなる。平日はタバコを吸うビジネスパーソンなどが多く来店し、休日はタバコを吸わない家族連れが多く来店するからだ。全席禁煙にしたことで客席当たりの回転率がよくなった。お客様をお待たせしないのでサービス向上にもつながった」(佐々木社長)

営業時間を減らしても売上高を減らさない

 ロイヤルホストでは店舗改装だけで売上高5%アップの効果があるという。これだけで深夜5時間分の売り上げは回収できる。

 さらに、夜12~夜2時、朝7~朝9時の営業もやめ、現在では朝9~夜12時までの15時間営業の店舗が中心となった。24時間営業からは9時間の時間短縮だ。24時間営業からは6~8%売り上げが減る。

 それでも調理作業の自動化などの効率化を進め、メニューの充実により客単価を高める工夫などをした結果、営業時間短縮の負の影響はカバーできているという。

 実際、同社の1店舗当たりの年間売上高は、2010年に比べ、2016年は約5.5%アップした。不採算店の閉鎖など様々な要因もあるが、深夜営業をやめることが大きなダメージを生まないことを示すデータであることは間違いない。

 同社ではさらに営業時間の見直しを進め、朝9時~夜11時へと深夜帯からのさらなる撤退も視野に入れている。

 深夜営業をやめて時短を図ることは、人件費削減、ロイヤルホストの働き方改革にも大きな効果を上げている。深夜帯は25%時給が上がるため、人件費が割高になる。アルバイト、パートが少ないため店長や料理長など社員が長時間、現場で働かざるを得ない。こうした弊害もなくなった。

 深夜から日中を重視する戦略に転換しているのはファミレスだけではない。深夜の稼働が高いタクシー業界でも変化が起きている。

 「タクシーは深夜が稼ぎ時という先入観があり、朝の需要を取りこぼしていた」。

 タクシー大手の日本交通(東京都千代田区)の労務担当者はこう話す。