17時開始の夕食が人気

 なぜホテルへ帰ってしまうのか。札幌は北海道の観光の拠点である。訪日外国人が市内に宿泊する平均日数は1.27日しかない。新千歳空港に到着した当日に宿泊。翌朝、ニセコや旭川といった観光地へ向かうパターンが多い。そのため札幌滞在中は夜に出かけることもなく、さっさと寝てしまう。

 それを象徴するようにススキノで外国人観光客専門レストランの営業時間のピークも早い。外国人観光客専門のレストラン「伝」は1日2回の入れ替え制をとっている。蟹やローストビーフなどがバイキング形式で食べられる店で外国人観光客に人気となっている。開始時間は17時と19時からで、500席は17時から予約が埋まっていく。日本人を相手にするなら、18時と20時開始にするだろう。日本人のように時間一杯に食事をすることもなく、1回食べたいものを皿に盛り付けた後は何度も並ぶことはない。そのため開始直後こそ蟹が並ぶコーナーには人だかりができたがすぐに引いた。1組あたり30~50人の観光客は食べたらすぐに徒歩で帰っていった。

外国人観光客でごった返すビュッフェレストラン「伝」(写真:佐藤雅彦)

 このレストランを運営するグラフィックホールディングス(札幌市中央区)の山本壮一社長は「早い時間から予約が集まる。ナイトスポットが少ないことが知られているのもあり、早々とホテルに帰ってしまう」という。ナイトスポットとは飲食店ではなく、劇場やショーを楽しめる場所のことだ。米ラスベガスやソウルといった都市ではミュージカルやショーが遅くまで行われている。「家族で楽しめるナイトスポットが事前に分かっていればススキノでも出歩いてくれるだろう。現状では厳しい。訪日外国人の対応ができていない店舗は15~20%の売上が落ちているだろう」(山本社長)。

 行政もナイトライフ充実のために動き出している。狸小路商店街に劇場を開設し、夜に楽しめるショーを用意している。札幌市などはこの事業に補助金を出している。

 2016年12月からアイヌ伝統文化や忍者ショーを始めている。ほかにも札幌名物「YOSAKOI ソーラン」やお笑い、音楽などのコンテンツを充実させていく予定。「買い物だけでなく夜に出歩いて楽しめるコンテンツを充実させて街を活性化させていきたい」(札幌市)、

 日本人の会社員は、働き方改革による副作用として収入が減ってしまい夜に出歩かなくなった。法人需要の回復は景気に大きく影響されると言われている。頼みの綱の外国人観光客が夜遅くまで遊んでもらうには工夫が必要だ。ナイトライフが充実すればタクシーといった多くの関連産業も潤う。インバウンド観光客の効果を最大限に高めるには夜に眠らせない魅力作りがポイントだ。