座っている時間が長いとテロメアは短くなる

 テロメアを伸ばすのは、それほどハードな運動ではない可能性も高い。

 最近は「セデンタリー」(=Sedentary、じっと座っていること)が健康に悪いことが注目されており、WHO(世界保健機関)は「セデンタリーはがん、糖尿病、心臓病のリスクを高める」と警告している。

 大阪大学が40~70代の日本人約8万人を19年間追跡した調査もある。1日のテレビ視聴時間が2時間延びるごとに肺塞栓症による死亡率は1.4倍高くなり、1日5時間以上テレビを観る人の死亡率は2時間半未満の人の2.5倍だった(*5)。

 このセデンタリーは、どうやらテロメアの長さにも影響するらしい。

 スウェーデンで平均68歳の49人を運動するグループとしないグループに分けて、運動とテロメアの関係を調べた。6カ月間運動を続けた人たちは体重や体脂肪率が減少したが、意外なことにテロメアの長さは運動量とは関係しなかった。ところが運動と別に「1日に座っている時間」を調べてみると、座っている時間が短い人ほどテロメアが長いことが分かったのだ(*6)。

 テロメラーゼ活性を高めてテロメアを伸ばすには、まず健康的な食生活や運動を心がけること。それ以上に「まめに席を立ち、長時間座りっぱなしでいないこと」が大切なのかもしれない。

  *5 Circulation. 2016 Jul 26;134(4):355-7
*6 Br J Sports Med. 2014 Oct;48(19):1407-9
近藤祥司(こんどう ひろし)さん
京都大学医学部附属病院 地域ネットワーク医療部 准教授
近藤祥司(こんどう ひろし)さん 1967年生まれ。京都大学医学部卒業。ロンドン大学と英国がん研究所で細胞老化と解糖系代謝の研究をし、2006年に京都大学医学部附属病院にアンチエイジング外来を開設。2017年より現職。著書に『老化はなぜ進むのか―遺伝子レベルで解明された巧妙なメカニズム』(講談社ブルーバックス)、『老化という生存戦略―進化におけるトレードオフ』(日本評論社)など。