みずほフィナンシャルグループ社長
佐藤康博(さとう・やすひろ)氏

1952年生まれ、東京都出身。東京大学経済学部卒。日本興業銀行入行。みずほ銀行頭取などを経て2011年から現職。(写真:陶山 勉、以下同)

 1999年8月、日本初のメガバンクグループの誕生が発表された。第一勧業銀行、富士銀行、日本興業銀行が経営統合し、みずほホールディングス(現みずほフィナンシャルグループ)が設立されたのだ。それから20年弱が経った。リーマンショックなどを経て、銀行の役割は大きく変わりつつある。新たなあるべき金融の形をどう認識しているのかを、佐藤康博社長に聞いた。

貸付だけで収益を上げるモデルからは脱却する

銀行のあるべき姿が問われています。金融機関としての役割をどう考えていますか。

佐藤:リーマンショック以降、金融のあり方は大きく変わりました。金融の産業史という観点で振り返ると、1980年代までは銀行・信託・生命保険といった分野で、それぞれの企業が別々に存在していました。その後、金融ビックバンが起きて、金融の総合デパート化・メガバンク化が起きたのが1990年代。米国ではシティコープがシティバンク、トラベラーズ・グループ、ソロモンブラザーズをまとめました。みずほの経営統合も1999年に発表しているので、その流れの末尾にいるといえます。

 2000年代に入って、投資銀行業務というビジネスモデルが世の中を席巻します。自己勘定取引を中心に金融工学を使い、ROE(自己資本利益率)で25%位を叩き出すような高収益の金融業をやってきました。だがサブプライムのように低所得者向けの住宅ローンを証券化するなど、顧客の実需から離れたマネーゲームに走り破綻しました。

 リーマンショックがあった2008年以降、我々はこれまで述べた3つの時代の次に来る新しい時代の金融の姿を問われています。二つの大きな潮流に直面しています。一つは二度と大銀行を潰させないため、中核的自己資本を厚く持たせるという規制強化。もう一つは、顧客の実需に根ざした金融の本来的業務、金融仲介機能、フィデューシャリー・デューティー(顧客本位の業務運営)をやっていこうというものです。