もう一つの再編の姿は、金融機関同士の「機能別再編」だ。例えば静岡銀の本部ビル内では大量の債権書類を保管し、事務手続きを処理している。これを他の地銀や信用金庫などに開放し、手数料を得るビジネスも考えられるという。

 「我々も収入が増えるし、委託した金融機関は間接コストを大幅に減らすことができます。単純に『合併しましょう』ではなく、機能ベースで共同化していけば、各行がより経営体力を高め、結果的に金融サービスの質を上げていくことができるはずです」(柴田頭取)

 バブル崩壊以降、全国で相次いだ地銀再編の背景には不良債権問題があった。2008年のリーマンショック後は、有価証券の減損や不動産向け融資の焦げ付きに苦しんだ地銀が再編に踏み切った。

「旧来型のエリート意識」を壊すしかない

 バブル崩壊とリーマンショックによる金融危機の際は、地銀同士が再編して経営体力をかさ上げすることで、多額の損失に耐えることができるという明確なメリットがあった。しかし、今やいくら資産が大きくなっても、歴史的な低金利の中にあってはこれまで期待できたような収益を生まない。むしろ積み上げた自己資本を有効活用できなければ、投資家などステークホルダーから評価されない。

 かつて、産業界において銀行は特別な存在だった。だが、金融危機が去って静かな危機の時代を迎えた今、「銀行」ではなく「金融サービス業」への変革と、新たなビジネスモデルの確立を迫られている。これに対応するためには、銀行内部に根強く残る「旧来型のエリート意識」を自ら打ち壊していくしかない。

 人口減少により国内市場は縮小を余儀なくされる。単独で成長できない地銀が再編して、ただ資産規模を増やしても、それは一時しのぎにしかならない。いずれまた、縮小する市場に追い立てられて再編し続ける羽目に陥るだけだ。地域金融機関の生き残り策が「似たもの同士の再編」しかないとしたら、結局は淘汰される道しか残されていないことになる。