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新事業を成功させるために優秀な社員をプロジェクトマネジャに任命したが、うまく行かなかった。そういう経験をしたことがある読者も多いのではないだろうか。何が足りなかったのか。ローソンやファーストリテイリングの社長を歴任した玉塚元一デジタルハーツホールディングス社長と、宇宙から農業、スポーツまで幅広い分野でシステムデザインに取り組む神武直彦慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授が、事業創出の勘所を議論した。

(進行役は日経BP総研の谷島宣之上席研究員、写真撮影=北山宏一)

玉塚 元一
旭硝子などを経て、2002年ファーストリテイリング代表取締役社長 兼 COOに就任。2005年9月に企業再生・事業の成長を手掛ける企業リヴァンプを創業。ローソン社長、会長CEOを経て2017年6月、デジタル製品のテスト及びQAを行うデジタルハーツホールディングス代表取締役社長CEOに就任。
神武 直彦
宇宙開発事業団(現宇宙航空研究開発機構・JAXA)でH-ⅡAロケットの研究開発と打ち上げに従事。欧州宇宙機関(ESA)研究員を経て、JAXA主任開発員。2009年度より慶應義塾大学准教授。2018年度より現職。社会技術システムのデザインやマネジメントの教育研究に従事。

玉塚:デジタルトランスフォーメーションの時代に、新事業をどう創出するか、これは私を含め、多くの経営者の関心事です。事業を一つのシステムとしてとらえ、それをデザインするときに、新しいことへ対応できるかどうか、組織やプロジェクトメンバーの「レディネス」(成熟度)を見極めよう、という示唆を神武さんから前回いただきました。

前回記事:失敗続きの事業創出、鍵はレディネス

 新事業を始める前に、自分たちの実力も見極め、しっかりデザインする。仰る通りですが、実際に経営や商売をやってみると、なかなか難しい。そこで事業創出を実践するときの勘所を考えてみたいと思います。

 神武さんは教鞭をとるかたわら、複数のプロジェクトに参加されているそうですが共有いただける事例はありますか。