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「デジタルトランスフォーメーションの時代、いかにして新事業を創出するか。これがすべての経営者の悩みでは」。ローソンやファーストリテイリングの社長を歴任した玉塚元一デジタルハーツホールディングス社長はこう語る。価値を生む新事業をどのようにデザインすればいいのか。宇宙から農業、スポーツまで幅広い分野でシステムデザインに取り組む神武直彦慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授に玉塚社長が聞く。

(進行役は日経BP総研の谷島宣之上席研究員、写真撮影=北山宏一)

今回のお題は事業開発、特に新たな事業の創出です。前回、玉塚さんから要望があったテーマです。

前回記事:慶應大学ラグビー部が「法人化」した理由

玉塚:これはもう、すべての経営者にとって優先順位の高いテーマでしょう。AI(人工知能)、IoT(インターネット・オブ・シングズ)はじめ様々なテクノロジーが生まれ、市場が大きく変化している。いわゆるデジタルトランスフォーメーションの時代になり、経営者にはこれらの技術を活用し、全く新しい事業やビジネスモデルを構築する事が求められています。しかしながら、そうした事業創出の成功事例は非常に少ないのが現状です。

ちょっと前ですが日経BP総研が2015年11月末から12月中旬に実施した調査によると、「重要だと思う会社全体の課題」について回答が最も多かったのは「新製品・サービス・事業の開発」でした。回答者の44.9%が挙げています。次が「人材の採用と育成」で31.1%でした。

関連資料:上場企業500社経営企画部門調査 新事業開発成功の鍵

神武:回答者はどのような方々ですか。

上場企業の経営企画部門です。3577社に調査票を郵送し、499社から有効回答をいただきました。経営に近い部門ですから、経営者の関心が回答に反映されているとみてよいと思います。

玉塚 元一
旭硝子などを経て、2002年ファーストリテイリング代表取締役社長 兼 COOに就任。2005年9月に企業再生・事業の成長を手掛ける企業リヴァンプを創業。ローソン社長、会長CEOを経て2017年6月、デジタル製品のテスト及びQAを行うデジタルハーツホールディングス代表取締役社長CEOに就任。
神武 直彦
宇宙開発事業団(現宇宙航空研究開発機構・JAXA)でH-ⅡAロケットの研究開発と打ち上げに従事。欧州宇宙機関(ESA)研究員を経て、JAXA主任開発員。2009年度より慶應義塾大学准教授。2018年度より現職。社会技術システムのデザインやマネジメントの教育研究に従事。