V&Vとは何か

木と森の両方を見て、十分に終わりのことを考えろ、というのは正論ですが考えすぎると決断できないし、見切り発車をすると失敗するし、なかなか難しいのでは。

神武:時間の制約があるなかで、こことここは押さえておこう、ということが、手法を取り入れればやりやすくなります。それでもうまくいかなくなる場合があるのはその通りですが、システムズエンジニアリングにはV&Vという考え方があります。ヴェリフィケーション(Verification)とバリデーション(Validation)の略です。それぞれ検証、妥当性確認と訳されています。

 検証は要求された仕様通りシステムデザインが行われているかどうかを確認すること。“Do the thing right ?”、ことを正しく行っているか、と問うわけです。妥当性確認はそのシステムが利害関係者を満足させるかどうかを確認すること。“Do the right thing ?”、正しいことを行っているか、を問います。システムをつくっていく中で、節目にV&Vを実施、問題があったらシステムを見直していく必要があります。

玉塚:V&Vも示唆に富んでいますね。あの新施策のデザインをしっかり見ていたつもりだったけれども、それは検証を念入りにやっただけで、妥当性確認が甘かったのだな、とか。

神武:著名な大型失敗プロジェクトとV&Vとの関係を調査した論文が発表されています。システムズエンジニアリングの研究論文ですが、経営者の方が読んでも気付きを得られるのではないでしょうか。

この連載では色々なテーマを取り上げ、システムデザインを学んでいきます。玉塚さんが今、気になるテーマは何でしょうか。

玉塚:事業開発は多くの経営者の関心事ではないでしょうか。経営者同士で集まると新規事業の話がよく出ます。なかなか成功しませんし。次回は事業開発をテーマにしましょう。

今回のキーワード

システム:何らかの目的を達成するために複数の要素を組み合わせたものとそのつながり

システムデザイン:目的を明確にし、その運用や終了までを念頭にそれを成し遂げるシステムを構想し、要素を組み合わせる構造を考え、個々の要素から全体までつくりあげること

システムエンジニアリング:宇宙や防衛分野から生まれた、システムの実現を成功させることができる複数の専門分野にまたがるアプローチおよび手段。