皆さんは焼き肉をガッツリ食べたり、飲んだ後の〆にラーメンを食べたりした翌朝、胸焼けや、みぞおちのもたれを感じませんか。あるいは最近、ゲップがよく出ませんか。

 もしそうだとしたら、それは十中八九、「逆流性食道炎」です。

 逆流性食道炎という病名を聞いたことがある人も多いでしょうし、胃カメラを受けた時、実際にそう診断されたという人もいるでしょう。それぐらい罹患率が高い病気ですし、その増加スピードも尋常ではありません。

 私が消化器内科の医師として働いてきたこの20年近くの間に、かつてはそれほどでもなかった罹患率がグングン伸び、今や実にメジャーな病気になってしまいました。

 10年くらい前の報告で「逆流性食道炎の罹患率は人口の20%以上」と推定されていましたが、現在の私の実感としては、内視鏡所見などを厳密にとると受診者の30~40%が逆流性食道炎と診断されるのではないでしょうか。それくらい、逆流性食道炎は、高血圧や花粉症と並んで新たな国民病といっても過言ではないのです。では、一体どんな病気なのか、しっかり解説いたします。

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