20~30歳をピークに減り始めるテストステロン

 テストステロンは、主に精巣で産生されるホルモンです。男性の一次性徴、二次性徴を促し、精子形成に関与します。また血管を拡張したり、動脈硬化を抑制したりする作用があります。

 精巣のほかにも、身体の筋肉や脳の海馬でもテストステロンは産生されており、その場所その場所で、重要な役割を果たしています。いわば「地産地消」されているのです。

 テストステロンは筋肉の量と強度を保ち、骨密度を高め、脂肪細胞を減らすという男性的な肉体の維持に深く関わっています(ボディビルダーがステロイドを摂取するのはこのためです)。脳神経系では、特に認知機能や集中力、リスクを取る判断と関係すると言われています。

 骨太でがっしりしていて、運動が好きで、強力なリーダーシップを持った人物像に当てはまる人もいるでしょう。もしかするとテストステロンが高値なのかもしれません。テストステロンの作用は非常に多岐にわたっていて、しかも健康な心身の維持にとっては重要なものばかりなのです。

 そんな大事なテストステロンですが、体内の濃度は20~30歳にピークを迎え、その後は毎年、少しずつゆっくりと減少していきます。加齢のほかにも、肥満や糖尿病、がん、低栄養、うつ病、精神的なストレスなどでテストステロンは減少してしまいます。

 テストステロンの減少による、いわば男性版の更年期障害は、LOH症候群(late-onset hypogonadism syndrome)と呼ばれています。その症状には前述したものも含めて、下記のものがあります。

  1. 性欲低下、勃起障害(ED)
  2. 知的活動、認知力の低下
  3. うつ
  4. 睡眠障害
  5. 筋肉の減少
  6. 内臓脂肪の増加
  7. 体毛と皮膚の変化
  8. 骨密度の低下、骨粗鬆症、骨折のリスク増加
  9. 虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)

 ここで大事な注意点があります。

次ページ テストステロンの投与でEDが改善する?