肺がん、胃がんに続き、今回は前立腺と前立腺がんについて解説します。

「その話は興味がある!」という人も多いのではないでしょうか。脳や心臓、肺、肝臓、腎臓……人体に不要な臓器は一つとしてありませんが、中でも前立腺は、男性のアイデンティティーに密接に関わるので、とりわけ高い関心を持たれます。

 また近年、前立腺がんの患者数は、尋常ではない勢いで増加をしています。男性読者にとっては決して他人事ではないはずです。この先1~2年の間に、大腸がんを抜くことは確実と考えられています。

 そんな前立腺がんですから、皆さんの周囲にも罹患した人がいるはずです。そして前立腺がんの発覚は、もしかすると次のような経緯だったのではないでしょうか。

「PSA検診を受けて、早期の前立腺がんが見つかり、幸い手術で完治した」

 ここでまず、「PSA」について説明します。PSAとは、「腫瘍マーカー」の1種です。体内にがんができると、がん自体か、もしくは体ががんに反応して特定の物質を作り出すことがあります。これを腫瘍マーカーと言います。

 採血をして腫瘍マーカーが上昇していれば、体内のどこかにがんがある可能性が高まります。採血だけでがんの有無をチェックできるのであれば、体の負担も少なく、費用も抑えられるので、こんなに素晴らしいことはありません。

 しかし残念ながら、早期がんの段階で確実に上昇する腫瘍マーカーはほとんどありません。大抵は上昇するとしても進行がんになってからなので、早期のがんの発見目的ではあまり使えません。しかし、ほぼ唯一の例外が前立腺がんに対するPSAなのです。

 PSAは、早期の前立腺がんでも上昇することが多いため、検診の項目としても使用することができるのです。

 そのため「PSA検診を受けて早期の前立腺がんが見つかり、手術で完治した」のであれば、「早期発見・早期治療」の理念を代表する素晴らしい経緯だと言うことができます。

 しかし、実はここには多くの人が簡単にはまってしまう、とても分かりにくい落とし穴があるのです。