なぜ欧米人はあんなに太れるのか
まず、インスリン分泌障害について。これは様々な遺伝的な要因によって、インスリンの分泌自体が低下することです。

つまり日本人はもともとのインスリン量が少ない上に、遺伝的な要因などによって、さらに出なくなってしまうことがあるのです。
インスリン分泌障害がある場合は、ほぼ正常の体格や軽度の肥満であっても、糖尿病を発症することがあります。この場合は生活習慣の改善などの自助努力だけでは改善しにくいので、治療が必要になることが非常に多いのです。
次にインスリン抵抗性。こちらは分泌障害とは対照的に、多くは肥満によって引き起こされる事態です。
なぜ肥満になるとインスリンの効きが悪くなるのでしょうか。
以前にも「メタボのあなた、無症状はとても危険です」で解説しましたが、内臓脂肪からは、体調を整えるための様々な生理活性物質が分泌されています。
しかし内臓脂肪が過剰に蓄積すると、その分泌バランスが乱れ、問題を引き起こしてしまうのです。
特にTNFαの増加、アディポネクチンの減少はインスリンの効きを悪くしてしまうと考えられています。
また肥満によって肝臓、筋肉、脂肪がグリコーゲンや中性脂肪で満杯になってしまえば、入りきれなかったブドウ糖があふれ出てしまいます。
インスリン抵抗性が上昇すると、血糖値が想定より下がっていないことを感知した膵臓は必死になってさらにインスリンを分泌します。その「頑張りすぎ」の状態が長期間に渡って続くと、最終的に膵臓が疲弊し、分泌能力が低下してしまうのです。
内臓脂肪が蓄積したインスリン抵抗性の人はもちろん、インスリン分泌障害の人であっても、インスリン抵抗性が上がらないように生活習慣を改善することは、糖尿病発症のリスクを減らすために非常に重要なポイントになります。
そのために必要なのは、肥満を改善すること、筋肉をつけること(グリコーゲンの貯蔵量も増えるし、基礎代謝も上がる)、そして膵臓に無理をさせないことです。
前者の2つはいいとして、最後の膵臓を労わるとは、どうすればいいのでしょうか。次回、詳しく解説いたします。
日経ビジネスオンラインで好評の本連載が1冊の書籍になりました。
書名は『医者がマンガで教える 日本一まっとうながん検診の受け方、使い方』。
あなたは次のような「がん検診」の新しい常識に正しく答えられますか?
- 肺がん検診、喫煙者ならば胸部レントゲン検査と、「〇〇」の検査を併用すべき
- たった数年で前立腺がんの患者数が急増!?その背景にあった「〇〇〇検診」の影響
- 胃がん検診、バリウムと胃カメラなら胃カメラに軍配! 理由は「〇〇がん」も検査できるから
- 「大量に飲める人」と「弱いけれど少し飲める人」、肝臓がんのリスクが高いのはどっち?
- ピロリ菌に感染する人が減ったことで、逆に「〇〇がん」のリスクは高まっている!
- 大腸がんを調べる大腸カメラ、キツイのは検査よりその前の大量の〇〇だった
- 検診を受けても見逃さないために! 乳がん検診はマンモグラフィーに〇〇〇を追加せよ
本書では、現在も活動を続ける現役医師が、特技であるマンガを生かして、「日本一まっとうな」がん検診の受け方と使い方を解説します。
肺がんや胃がん、大腸がんなど、日本人にとってメジャーな「がん」を見つける方法から、男性ならば誰もが気になる前立腺がんや前立腺肥大、ED(勃起不全)、若い女性にも広がっている乳がんや子宮頚がんについて——。
日本人に多い10のがんを取り上げて、正しいがん検診の受け方、使い方を紹介。同時に、最近取り沙汰されることの多い「PET検診」や、少量の血液や尿などからがんを見つけるとうたう「血液がん検診」など、「がん検診」をめぐる最新のテーマについても、マンガを用いながら、分かりやすく解説しています。
一冊読めば、あなたが「がん」や「がん検診」の怪しい情報に惑わされることは、もうありません。
Powered by リゾーム?