バリウム検査より胃カメラを薦めるワケ

 さて、胃カメラとバリウム検査です。両方とも一長一短があり、胃がん検診としてどちらが優れているか(つまり、どちらが早期の胃がんをより見つけるか)は一概には言えません。

 ただし一つ、決定的に違うところがあります。それは胃カメラの場合、「食道も詳細に観察することができる」ということです。

 「胃がんの話なのに食道?」と不思議に思うかもしれません。しかし実は、ここが一番大事なポイントになってくるのです。

 というのも、食道は口と胃をつなぐ管状の臓器です。胃の手前にあるので、バリウム検査であっても胃カメラであっても、胃を観察する前には必ず食道を観察することになります。

 しかしバリウム検査の場合、食道にバリウムがサーッと流れる数秒の間に、パシャパシャッと数枚レントゲンを撮る、というのが一般的です。これでは早期の食道がんを発見することはほとんど期待できません。

 一方、胃カメラの場合は違います。

 泡やカスがあれば洗い流せますし、送気したり脱気したりして食道を動かしながら、カメラが行きつ戻りつしてじっくりと食道や胃の状態を観察します。さらに特殊な光を当てて、がんを鮮明に浮かび上がらせることもできます。

 その結果、早期の食道がんの85.0%が胃カメラで見つかっており、バリウム検査で見つかっているのは11.2%に過ぎません。それほどまでに大きな差があるのです。

 食道がんが非常に珍しいがんであれば、胃カメラとバリウム検査の差は、そこまで重要視する必要はありません。しかし食道がんの罹患率は意外と高く、男性の場合、6番目に多いがんになっています。であれば、胃がん検診のついでに食道がん検診もできる胃カメラを選択した方が、当然、健康管理上のメリットは大きくなります。

 実際に、消化器専門の医師で、自分の胃がん検診をバリウム検査で行っている医師はほとんどいないと思います。少なくとも私の周囲には一人もいません。

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