日本は多様な食事法を選べる
それぞれの食事法には、歴史的、文化的、地理的背景もあるので、一律に優劣を競うのはあまり意味がありません。
例えば地中海食はどの臨床研究でもおおむね高い評価を得るのですが、じゃあ「アジア全土で地中海食を推進しよう!」とはなりませんし、実現可能でもないでしょう。
米国臨床内分泌学会/米国内分泌学会(AACE/ACE)のガイドラインでも「食事法は個人の文化や嗜好に合わせる」と明記されています。
多民族国家・アメリカならではの、固有のバックグラウンドを尊重しようとする姿勢は好感が持てます。
一方で「私は日本人だから日本食しか食べません」という人も稀だと思います。
ごく一般的な日本人は、お刺身も食べればカルパッチョも食べるし、おじやも食べればリゾットも食べます。もちろん、うどんやそば、ラーメン、パスタも食べるでしょう。大型の食品スーパーに行けば、世界各国の食材や調味料がところ狭しと並んでいます。
非常に多様な食生活を送っている日本人にとって、各食事法のメリット、デメリットを明らかにすることには非常に大きな意義があります。各食事法が自分の体質に適っているかどうかを判定できるし、「いいとこどり」をすることもできるからです(むしろ、本連載ではそれを目指していきます)。
さて各食事法のメリット、デメリットを理解するには、三大栄養素、特に炭水化物と脂質の代謝(分解・合成)の流れについての基礎知識を身につける必要があります。
それによって、自分は何に注意すべきかも判断できますし、なぜ食事法が乱立しているのかも分かります。
次回は、食事を食べると栄養素がどう代謝されるかを解説します。
- 原均、岡村緑:IGTの疫学―国際比較を含めてー。Diabetes Frontier31992;129-35.
- Kim HC et al. Spousal concordance of metabolic syndrome in 3141 Korean couples: a nationwide survey. Ann Epidemiol. 2006;16:292-8.
- Evert AB et al. Nutrition therapy recommendations for the management of adults with diabetes.Diabetes Care. 2014 Jan;37 Suppl 1:S120-43.
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