いきなり完璧な生活にしなくていい

 そもそも1日の摂取エネルギー量を算出することさえ難しいのに、このバランスで各栄養素をとれと言われても、栄養士でもない限り、イメージすることすらおぼつきません。

 これを遵守することがどれぐらい難しいかは、十分お分かりいただけると思います。

 つまり運動であれ食事であれ、理想的に求められている適切なレベルというものは、普通に暮らすビジネスパーソンにとって、非常にハードルが高いのです。

 ただその一方で、生活習慣はたとえその内容がどんなものであったとしても、今までみなさん誰しもが間断なく続けてきたものです。

 例えば、次のようなものです。

「自分はこってり系のラーメンが好きだ」
「朝食は抜くことが多い」
「お酒は週に5日ぐらい。だいたい缶ビール」
「自分のベスト体重はこれぐらい」
「この曜日は移動が多いので結構歩く」

 「自分の生活習慣が分からない」という人はあまりいないでしょう。皆さんが生活の中で、ごく自然に実践しているものですから。

 そして、そこに「勝機」があるのです。

 現状のままでは生活習慣病のリスクが上がってしまうのであれば、隅々まで熟知している自分の生活習慣を、まずは少しだけ変えてみればいいのです。

 例えば、このようなことです。
「ラーメンを3回に1回はそばにしてみる」
「お酒を週に4日にしてみる」
「万歩計アプリを使って歩数を調べてみる」
 詳細と理論はこれから詳しく解説していきます。

 「100点を目指しなさい」と言われれば、やる前から諦めてしまったり、途中で挫折したりしてしまいます。

 けれど、いきなり100点を取る必要はないのです。60点でも70点でもいい。今より少しでも点数が上がるのであれば、それで良しとする。

 そして一定の点数を取れたら、そこでさらに5点、10点と上積みできるかどうかを考えればいいのです。

 アメリカのAcademy of Nutrition and Dietetics (AND)も、減量の最初のゴールとして、体重の最大10%までを推奨しています。絶対値ではなく、相対値で考えるという現実的な目標値を設定することが重要です。

 忙しいなら忙しいなりに、まずは60点を取りに行く。粘り強い、ゲリラ戦のような闘い方が必要なのです。「完璧主義」はひとまず脇に置いておきましょう。

 皆さんが日々歩んでいるまっすぐな道があるとして、ほんの数%角度を変えるだけでも、最終的には全く異なるゴールにたどり着くことになります。その「角度の変え方」を、次回からは解説していきたいと思います。

(次回に続く)

本連載が1冊の本になりました。日本人の死因で最も多い「がん」を避けるためにはどうすればいいのか、マンガで分かりやすく解説しています

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  • 胃がん検診、バリウムと胃カメラなら胃カメラに軍配! 理由は「〇〇がん」も検査できるから
  • 「大量に飲める人」と「弱いけれど少し飲める人」、肝臓がんのリスクが高いのはどっち?
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