肺がん検診も意外と複雑ですが、ほかのがん検診に比べて明らかに優れているところがあります。それは、「術者(医師や技師)による技量の差が出ない」ということです。

 レントゲンやCT検査はあくまで機械が行うので、胃カメラや超音波検査と違って、誰が検査してもある程度の精度が期待できます。これは非常に公平なことで、肺がん検診の大きなメリットとも言えるでしょう。技量によって結果に差が出る検査は、ある意味では術者次第。けれど本当に大切なのは、誰であっても、どんな場所でも、どの術者でも、平均的に同じレベルの医療が受けられるということでしょう。これは医療の最も理想的な姿です。

 あえて弱点を言えば、レントゲンやCT検査の結果は、一枚一枚医師が読影するので、その医師の読影能力によって差が出るかもしれません。けれどそれも、この10年以内に劇的に変化すると思います。

 現在、世界中の企業や研究所が人工知能(AI)の研究を行っています。

レントゲンの結果をAIが判断!

 医療において、画像診断はAIが最も活躍しやすい分野の一つと考えられています。AIが、皮膚がんを皮膚科の専門医と同等のレベルで診断をした、といった報告も上がってきています。

 また実際に、AIによるCT診断も、全世界で導入されつつあります。病院に入ったら、そのままCTの台に乗って撮影し、AIが結果を瞬時に診断するーー。治療はさておき、診断に限って言えば、医療行為をAIに委ねる日が訪れようとしています。

【参考文献】

佐川元保 他.肺がん検診の有効性評価:厚生省藤村班での 4つの症例対照研究 肺癌 2001;41:637-642
全国がん(成人病)センター協議会加盟施設における5年生存率(2006~2008年診断例)
The National Lung Screening Trial Research Team. Reduced Lung-Cancer Mortality with Low-Dose Computed Tomographic Screening. N Engl J Med 2011; 365:395-409
CT検診精度管理ガイドライン(第一版)
Pijpe A et al. Exposure to diagnostic radiation and risk of breast cancer among carriers of BRCA1/2 mutations:retrospective cohort study(GENE‒RAD‒RISK). BMJ. 2012;345:e5660.
Esteva A et al. Dermatologist-level classification of skin cancer with deep neural networks. Nature. 2017;542:115-118.

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