“万能”ではないCT健診

 ただし、「CT検診は悪性度の低いものをたくさん見つけているだけなんじゃないか(過剰診断)」という批判もあります。

 そして、見つかったものの多くは、さらなる精密検査の対象になるので、診断が確定するまでに時間もお金もかかるし、精神的なストレスも相当なものになります。

 放射線被ばくの問題も考慮しなくてはいけません。CTを取り続けたことによって白血病などのリスクが上がっては元も子もありません。リスクとベネフィットを天秤にかけると、少なくとも50歳未満には推奨できないとされています。

 特に乳がんの家族歴がある人は、特殊な遺伝子変異が起こる可能性があります。それも遺伝子変異があって30歳未満の場合、医療被ばくによって乳がんのリスクが高まることも報告されています。それを考慮すると、30歳以上であっても、CT検診はできるだけ避けた方が無難なのかもしれません。

 同時に現状では、市区町村の健診でCT検診は原則的に受けられないので、希望する場合は、人間ドックなどでCT検査を選択する必要があります。

 つまり、これらの情報をまとめると、以下のように整理できます。

  1. レントゲンによる検査によって、肺がんの死亡率は30〜60%下がる。
  2. タバコの影響が強い肺門部がんは、痰の検査を併用することが有効。
  3. CT検査は、レントゲンによる検査よりも肺がんの死亡率を20%下げられる。ただし過剰診断、被ばくのリスクに注意が必要で、市区町村の健診では受けられない。

 肺がんで助かる人と亡くなる人の運命を分けるものは何か、という冒頭の疑問に、予想を交えて回答するなら、「レントゲンによる検査だけでは時に不十分。自分のリスクに応じて痰の検査やCT検査を併用することで、運命が変わり得る」ということになります。

次ページ レントゲンの結果をAIが判断!