前回(「メタボのあなた、無症状はとても危険です」)メタボ健診の盲点になり得るポイントを解説しました。
女性の腹囲の基準が緩いこと。
LDLコレステロールはメタボの診断基準に入ってはいないけど、動脈硬化の強力なリスク因子であること。
メタボ健診は良い着眼点を持った制度だと思いますが、「診断基準以内のものや、診断基準にないものは問題ない」という誤解を生みかねません。
そしてその誤解は、メタボ健診が普及すればするほど強固になる性質のものでしょう。
これはなかなか深刻なジレンマです。
診断基準に対する懸念や批判は、実はメタボ健診のスタート当初からありました。
実際に診療をしていると、決して肥満でもなんでもないのに、高血圧であったり、LDLや血糖値が高かったりする人は、たくさんいます。
メタボ健診は原則的に腹囲だけで第一段階のふるい分けをしているので、そういった人たちはメタボではないと診断されています。その結果、メタボではないけど生活習慣の指導が必要な人が、たくさんこぼれ落ちているのです。
この指摘はまさにその通りで、特に反論のしようはないと思います。
ただし、こういった批判は、メタボ健診の立ち位置が誤解されていることにより生じているようです。ここでは、メタボ健診の存在意義を再確認したいと思います。
まず今までも何回か出てきている表をご覧ください。
脂質、血圧、血糖のメタボの基準値の下に、実際の「脂質異常症」、「高血圧」、「糖尿病」と診断するために用いる基準値を併記します。
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