「総コレステロールの値に意味はない」は本当か

 次に、メタボ健診についての、良くある、そして深刻な誤解についてです。

 脂質は様々な形で体内に存在しますが、健診において重要な指標は下記の3つです。

① LDLコレステロール(悪玉コレステロール) 以下、LDL
② HDLコレステロール(善玉コレステロール) 以下、HDL
③ 中性脂肪

 LDLと中性脂肪は値が高くなるほど動脈硬化のリスクが上がります。

 一方、HDLは良いコレステロールなので、値が「低く」なればなるほど動脈硬化のリスクが上がります。

 今でも「高脂血症」という言葉は使いますが、低いHDLもリスクだということ(つまり「高」脂血症ではない)を考慮に入れて、最近は「脂質異常症」という言葉がもっぱら使われています。

 さて、メタボの基準では、脂質は「HDL」と「中性脂肪」だけを取り入れており、良く聞く「総コレステロール」や「LDL」という値は入っていません。

 総コレステロールは、「LDL+HDL+etc.」の総和です。

 ということは、総コレステロールが高いだけだと、LDLが高いのか、HDLが高い(つまり問題ない)のかがよく分からないので、最近はあまり参考にしていないのです。

 これをもってして、「総コレステロールには意味がない、健康には関係ない」とする記事をたまに目にしますが、それは全くの誤解です。

 総コレステロールが高いだけだと判断がつきかねるという話であって、その原因がLDLの高値であれば、もちろん健康にとっては重大な問題なのです。

 またその肝心かなめのLDLも、メタボの基準に入っていません。

 これもLDLが重要ではないという意味では全くありません。それどころかLDLは、動脈硬化の進展において、「とてつもなく強力なリスク因子」です。

 リスクが抜きんでているから、メタボうんぬんとは離して考える、というのもあるし、そもそもLDLは内臓脂肪とはあまり関係なく動く因子なのです。

 メタボはあくまで内臓脂肪を主眼に置いた概念なので、内臓脂肪と関わる中性脂肪とHDLだけを診断基準に入れているだけなのです。事実、メタボの基準には入ってはいませんが、メタボ健診でもLDLはしっかり測定します(場合によってはnon-HDLという項目で代用しますが、意義は同じです)。

 LDLはとても大切な因子なので、せっかくの機会に一緒にチェックしているのです。