前回(「平均寿命は日本一。でも健康寿命はそうでもない都道府県は?」)は、日本人の平均寿命と健康寿命の差は、男性9.02年、女性12.40年と解説しました(「健康日本21(第二次)各目標項目の進捗状況について」より)。
大半の日本人が人生の締めくくりの段階で、10年前後不本意な生活を強いられているのです。現状のまま「人生100年時代」が到来すれば、不本意な生活を強いられる期間は、寿命が長くなるのに比例して、伸びることが予想されます。
ではそれを避けるためには、つまり健康寿命を延ばすためには何が必要でしょうか。
もちろん、日本人の死因ナンバーワンである、「がん」を遠ざけるのは重要なポイントです。それについては、私の最新刊『医者がマンガで教える 日本一まっとうながん検診の受け方、使い方』でしっかりと解説していますので、ご興味がある方はぜひご一読ください。
要介護を避けるには、脳卒中の防止がカギ
しかし、あくまで一般論ですが、がんの場合は相当進行した状態にならない限り、普段通りの日常生活が送れる人も多い。
もちろん通院の必要もあるし、治療に伴う副作用で体調が思わしくない場合もあるでしょう。けれど、たいていの場合は、身の回りのことは自分でできるし、短期間の旅行に行くこともできます。
がんの治療を受けながら、いかに就労を維持するかということも、現代の大切なテーマになっています。こういった場合は、病気であったとしても、それと「共存している」と言えるでしょう。
そうではなく、身の回りのことが自分でできない、つまり「要介護」になる原因には何が多いのでしょうか。
平成28年国民生活基礎調査の概況によると、1位が「認知症」(24.8%)、2位が「脳卒中」(18.4%)となっています。つまり、この2つを避けることが健康寿命を延ばすために最も大事なカギとなるのです。
認知症については後述するので、まずは脳卒中から解説しましょう。脳卒中を避けるには、どうすればいいのでしょうか。
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