太く短くのつもりが、細く長い人生に?

 けれど、あえて一番大切なものは何かというならば、私はやはり「健康」だと思います。

 なぜなら、健康が損なわれると、資産だって生きがいだって、簡単に雲散霧消してしまうからです。長期間にわたって高度な医療、高度な介護が必要になれば、あっという間に資産は尽きてしまいます。やりたいことが制限されてしまえば、生きがいを感じながら暮らすことも難しくなるでしょう。

 逆に健康でさえいれば、まずは何とかなるはずです。裕福な暮らしができなかったとしても、シルバー人材センターで働いたり、野菜を作って半自給自足の生活を送ったりできるはずですから。

 人生100年時代に備えるならば、資産や生きがいをどうするかということと同時に、いかに肉体を健康な状態に保って、長持ちさせるかということが、何よりも重要なのです。

 たとえ100年間生きられたとしても、長期間にわたって寝たきりだったり、認知症が進んでそれが把握できなかったりすることだけは、何としても避けたいと思うのが、普通の人の本音ではないでしょうか。

 もしそうなってしまえば、100年の人生も決して祝福とはなりえません。

 いやいや私は太く短く生きるから大丈夫ですよ、という人もいるかもしれません。しかし失礼ながら、そんなにピンピンコロリと上手くいくでしょうか。

 救急医療が高度に発達した現代において、重度の心筋梗塞や脳卒中を起こしても、かなりの割合で、救命することができます。例えば、国立循環器病研究センター病院のホームページによれば、同病院に運び込まれる年1200人以上の脳卒中患者のうち、死亡率はわずか2~3%にすぎません(もちろん、それは素晴らしい実績なのです)。

 現代では、脳卒中を起こしても、多くの人は救命できている。しかし何らかの後遺症が残る可能性は十分にあります。

 太く短く人生を終えるつもりが、細く長く生きてしまう。そんなできの悪いブラックジョークのような事態もあり得るのです。

 では実際に日本人のライフコースが現状でどうなっているのかを、数字で見ていきましょう。

(次回に続く)