「ハンチントン病になる可能性が高い」と知らされて自殺

 それも、もっと深刻な問題を引き起こす可能性があるのです。

 例えば、血液がん検診を受けて陽性になったとします。おそらく不安な気持ちを抱えて病院を受診し、画像検査を受けるでしょう。

 その結果、何も問題が見つからず、担当医に「がんはありません」と言われたとしたら……。皆さんは、どんな気持ちになるでしょうか。

 もちろん大半の人は「よかった、がんはないんだ」と思うでしょう。ただ一部の人は、「まだ画像検査で見つからないぐらい小さいのかも」と不安を抱えるかもしれません。さらには「見落としたんじゃないか」と検査結果に疑念を抱く人だっているはずです。一部の受診者は、不安と疑心暗鬼のるつぼに陥ってしまうのです。

 「そんな大げさな」と思うかもしれません。しかし、この問題は軽視しない方がいいのです。

 そもそも血液がん検診をしようと思ったのは、がんが気になるからです。検査結果の不一致が気にならないわけがありません。そして、血液がん検診の中身が、遺伝子などの高度でもっともらしいものであればあるほど、より不安も強まるでしょう。

 現実に海外では、遺伝子検査の結果、将来的にハンチントン病という難病を発症する可能性が高いことを指摘された4527人のうち、5人が自殺し、21人が自殺未遂をしたと報告されています。

 まだ発症していないし、発症するかどうかも分からないのに、将来を悲観して行動に移してしまったのです。同じことが起こらないと誰に言えるでしょうか。