男性より女性の方が、PET検査が有用?

部位別予測がん罹患率(2016年)男性
部位別予測がん罹患率(2016年)女性

 オレンジ色の部分が、「非常に有用」と「有用性が高いと考えられる」を合わせた、PET検査がカバーする可能性のある部分です(子宮の場合は「体がん」に相当する部分)。

 男性の場合は、残念ながら罹患率の1位と2位の前立腺がんと胃がんがカバーされていません。ただし前立腺と胃は一般的ながん検診(PSAと胃カメラ)があるので、それを組み合わせればカバーできます。

 女性の場合は、胃カメラと子宮がん検診を組み合わせれば、何と上位のがんはほとんどがカバーできてしまいます。単純に罹患数だけに注目すれば、「PET検査は男性よりも女性の方がより有用だ」と言えるでしょう。

 もちろん、PET検査にもいくつかの問題点があります。

 まず、PET検査が個別のがん検診(胸部レントゲン、大腸カメラ、マンモグラフィーなど)より優れているというわけでは決してありません。診断能力については、現状では個別のがん検診の方に軍配が上がります。

 また、あくまで「非常に有用」なのは、頭頸部がん、甲状腺がん、悪性リンパ腫に限られていることにも注意が必要です。ただし、この3種類のがんは、自治体のがん検診がないので、それらに加えて膵がんや子宮体がんなど、「がん検診がなくてノーマークになっているがんが不安だ」という人は、PET検査を追加項目として検討しても良いでしょう。

 さらに、今後PET検査を広く普及をさせるのであれば、避けては通れない問題があります。

 それは、「医療被ばく」の問題です。FDGを体内に注入するだけでも被ばくしますし、高画質のCTをくまなく撮ればさらに上乗せされます。被ばく線量は、条件や方法によって大きく変わりますが、PETとCT合わせて20mSvを越えることもありえます。

 被ばく線量が累積で100mSvを越えると、徐々に発がんのリスクが増大していくと言われています。それを考慮すれば、PET検査は、現状では少なくとも毎年受けるような検査ではありません。

 PET検査には改善が必要なポイントがまだまだあります。

 一方、以下のような注目すべき特徴もあります。

  1. 1回の検査で複数のがん検診を網羅的に行える
  2. 検査担当者の技量の差が出にくい
  3. 被曝は別として、肉体的な苦痛が少ない

 こうした検診としては非常に魅力的な長所も持っています。そのため今後の進歩に期待したいと思っています。

(参考文献)

FDG PET/MRI 診療ガイドライン 2012
FDG-PET検査における安全確保に関するガイドライン 2005
PET検査Q&A 日本核医学会 日本アイソトープ協会
がんの統計‘16
がん研有明病院ホームページ
放射線医学総合研究所ホームページ