「検便」で小さなポリープを見つけるのは難しい

 この検査のメリットは、とにかく簡単ということに尽きます。自然に出る便を提出するだけでいいのです。採血のように針を刺す痛みもありません。

 簡単で、安価で、医療機関にとっても、マンパワーを必要としない。検診にはもってこいの検査方法です。

 ただし、この検査では、大腸がんやポリープ自体ではなく、その結果起こるかもしれない出血の有無をチェックしているだけ。あくまで間接的な検査にすぎないので、診断能力は決して高いとは言えません。がんやポリープがあっても血が混じらないことはいくらでもあるし、何も病気がないのに便潜血陽性になることもありますから。

 では、診断能力は実際にどのくらい精度が高いのでしょうか。

 報告によってばらつきがありますが、大腸がんを1回の便潜血検査で指摘できる可能性は30~56%、2、3回繰り返してやっと84%と言われています。1回だと不十分なのは明らかなので、便潜血検査は通常2回。これは、病変があっても陰性になってしまうケースをできる限り減らすための工夫です。

 当然、2回中1回でも陽性になれば「便潜血陽性」と診断され、精密検査が必要になります。

 時々、「2回中1回は陰性になったのだから、もう1回やって確認したい」という人がいますが、実はそれにはあまり意味がありません。一度陽性が出たという事実は、その後、何回陰性になったとしても消えるわけではありませんから。

 大腸がんのように出血しやすい大きな病変であっても、間違って陰性にならないように工夫が必要になってきます。

 では、それよりも小さなポリープの場合はどうなのでしょうか。

 ポリープを便潜血検査で指摘できる可能性は、11~18%と報告されています。極めて低い数字です。やらないより、やった方がいいのは間違いありません。ただし結果を絶対視して安心していると、足元をすくわれる可能性がでてきてしまいます。

 ポリープを早期に発見するには、便潜血以外の検査を受ける必要があります。次回、さらに詳しく解説していきます。

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