大分朝日放送で実際に4K放送の独自映像を観てみた。地元の名所を紹介する情報番組「豊の国をゆく」。大分の山に自生する天然記念物のミヤマキリシマを空撮した映像で、きれいなピンクの絨毯が広がる姿に思わず息をのんだ。陰になっている黒色が画面上で潰れないため、明暗のコントラストがより引き立つ効果を生んでいる。

 大分朝日放送は現在、総務省のモデル事業として海外にも4K対応番組を輸出している。「総務省のモデル事業には全国のテレビ局や広告代理店など150社以上が応募した。普通だったらうちは埋没してしまうが、4Kが大きなセールスポイントになりました」

証券取引所のような編集フロア

 「4Kへの投資は最初、失敗するんじゃないかと散々言われたが、ふたを開けてみたら、十分に初期投資を回収できることになった。4K放送設備ですが、1システムでは番組制作が追いつかず、この8月に2セット目のシステムを導入しました」

 上野社長の真の狙いは、素早い4K投資で先行者利益を得ることにはない。あくまで4K投資をきっかけに、他局とは違う「異色経営」を展開する地方局、という評価を自社のブランドに変える点に重きを置いているのだ。

 ブランド化へ向け、4Kへの投資以外にも力を入れる施策がある。そのひとつが、報道フロアの刷新だ。

まるで証券取引所のようなユニークな作りの報道フロア(上)。新しいスタジオでは窓から別府湾を見下ろすことができる(下)

 柱を中心にぐるりと囲むように並ぶテーブル。そこに座りながら記者がパソコンやiPadを開きながら記事の入稿を進める。テレビ局の報道フロアというより、証券取引所や大学の講義室の雰囲気に近い。記者やデスクが座る席は決まっておらず、フリーアドレス。円形に座るので、原稿内容の確認などコミュニケーションを図りやすい。

 「全国放送の番組向けにこの報道フロアからニュースを伝える機会が多い。そのような場で、先進的な取り組みをしている局だというイメージを全国に発信することができます」。大分朝日放送報道制作局長の草場淳氏はこう説明する。このほか、別府湾を望む高所にガラス張りのスタジオを新設。地元住民の憩いの場となるような屋外型スタジオ「ガーデンスタジオ5」も整備した。