だとすれば、何でもってブランディングを図るのか。上野社長が導き出した答えが、高画質の「4K」放送設備という独自ツールの導入だった。

 緑や赤の蛍光色が光る薄暗いスペース。いくつもの枝分かれした部屋では社員らがヘッドフォンを耳に当て、画面を見つめる。

 昨年7月、ここに4K対応の編集システムを導入した。4K用テレビカメラ、「宇宙ステーション」のようなプレビュールームなどを含めると、投資総額は2000万円に上る。設備投資によって、4K放送の撮影から編集まで一貫して行うことができるインフラが出来上がった。キー局を含む全国の民放で初めての試みだ。

大分朝日放送が約2000万円かけて導入した4K対応の編集ルーム(下)と、プレビュールーム(上)

 4K放送は2018年度からBS(衛星放送)で本放送が始まることが決まっている。だが、地上波では空き周波数帯の問題などがネックとなっており、本放送のスケジュールは決まっていない。そのため、テレビ局は4K関連の投資に消極的だ。あるテレビ局幹部は「4K放送が始まったからと言って広告単価が上がるわけでもない。民間企業として、回収できないことが確実な投資には踏み切れない」とこぼす。

「どこもやっていないからチャンス」

 だが、上野社長の発想は逆だ。「どこのテレビ局もやっていない。だからチャンスなんですよ。早い者勝ち。4K放送の一貫制作システムはうちしかない。我々はすでに合計で60本以上の番組を作っており、制作・編集ノウハウを持っています」

 「地上波での本放送が未定といってもBSで始まることは決まっているし、専門チャンネル、ネットではすでに立ち上がっている。うちにはノウハウがあるから、自然と全国から共同制作などの話が来るようになっている。だって他はやってないもの」