早河会長の成功体験は、最初に耐えることがポイントだと。

「ニュースステーション」の初代プロデューサーを務めるなど報道畑を歩んできた
(撮影:的野弘路)

早河会長:それはよく聞いてくれましたよ(笑)。夕方のニュースの2時間化も私がエイヤでやりましたが、1年間くらい視聴率が3%ぐらいで往生しました。社内からも冷たい目で見られまして、本当に、辞めようと思ったくらいです。ほとんど失敗しかけたんですけれども、でも結局、今はどのテレビ局も(テレビ朝日に追随して)長時間化になりましたよね。

 直近のエイヤのAbemaTVは今、かなりの赤字だと思いますが、どのぐらい耐えるつもりでしょうか。

早河会長:そういうのは、言わない、ということにしているんですよ。藤田社長との暗黙の了解でね。

 今はユーザーの関心をすごく集めていて、かつて経験したことのない広がりを見せている段階で、ビジネスとしてはこれから。やっぱり魅力的なコンテンツ作りと、視聴者・ユーザーへのサービス、この2つをきっちりと最優先でやっていくことが大事だと思いますね。

 AbemaTVが今後、大きく躍進すれば、地上波のテレビ朝日の視聴者を奪う、という結果にもなりかねません。

早河会長:「カニバる」という言葉がありますでしょう。例えば、「相棒」という番組を「BS朝日」に出して、そっちが見られている場合、テレビ朝日の視聴率は下がります。すでにテレビ朝日とBS朝日はカニバっている。今みたいにデバイスが多様化して伝送路もいっぱいあると、ある程度は共食い状態になるんですね。各局、みんなそうですよ。

 だから、AbemaTVとのカニバリズムも、ある程度はあります。その先、このままで行こうという経営判断をするのか、うまく棲み分ける努力をしなきゃいかんね、となるのかは、まだ分からないですね。

「地上波のテレビは生き残る」

早河会長:それに、視聴者が全部、地上波から離れてネットの方に行くというのは、あり得ないと思うんですよ。確かに、居間に座ってテレビ受像機をじっくり見るという若い世代は少なくなっているけれども、テレビをまったく見ないということはない。彼らがSNS(交流サイト)などで交わしている情報は、テレビ番組のことが多いんです。だから、地上波のテレビというのは生き残るだろうと。

 国内では2020年にテレビ広告とインターネット広告が並ぶとされていますが、そういう資料なんかを読んでも、ネットがテレビジョンを駆逐していくことはあり得ないと専門家も言っていて。ですから、互いに排除するんじゃなく、補い合う関係になるのではないかなと思います。

 ということを前提とすると、私はAbemaTVが将来、テレビ朝日のインターネット事業の中心になってくれるとありがたいなと。そうすると若年層を目指した広告でも、テレビ朝日がかかわりを持てるなと。

 非常にかっこつけて言いますと、テレビ朝日は、ほかのテレビ局とはちょっと違う、時代の変化を見逃さない独創的なポジショニングに立ちたいと思っています。そのカギを握るのは、繰り返しになりますが、やっぱり魅力的なコンテンツでしょうし、視聴者・ユーザーへの手厚いサービス。それらを追求しながら、テレビとインターネットが補完し合ういい関係を目指したいということですね。

■変更履歴
記事掲載当初、2ページの囲み記事内、AbemaTV向けニュース専門チャンネルへのテレビ朝日の出資比率を「49%」としていましたが、「50%」の誤りです。本文は修正済みです [2016/09/12 13:00]