電波で届ける従来型のテレビと、ネット経由で届けるネットTVについて、早河会長はどう将来を見通しているのでしょうか。

早河会長:テレビからスマホに映像へのアクセスを替えた世代が今後、10年、20年と歳を取っていくと、これは相当、様変わりするなと。つまり今、25歳の青年が20年後には45歳になりますから、今の若者層が主流になってくるわけですよね。その時に初めてテレビとネットというものの関係が新しい時代を迎える感じはします。私はその時、もういませんから、全然、構わないんですけれど(笑)。

 その時にはテレビ産業というか、テレビ局としては、動画配信サービスとの巧みな棲み分けを確立しないとダメだと思うんですね。収益や視聴者、ユーザーと言ってもいいと思うんですけれど、軸足をどこに置くのか、補い合うような形にしていくのか。それをメディアとして問われているのが実は今で、僕も問われている。今はとにかく早くチャレンジしないと遅れてしまうという認識です。

 今年の年頭の挨拶で言ったのは、テレビは転換期とか過渡期とか言われているけれど、もうそれは通り過ぎちゃったんだと。インターネットというテクノロジーの中にテレビがあるという認識を持ち、新しい時代のテレビ、あるいは新しい時代のテレビ朝日を構築する作業を始めないとダメだ、というようなことを言いました。

 この問題意識は社内でそんなに共有されているわけではないんだけれども、でも反対する人もいない。だから私の選択を信じてちょうだいよ、ということです。

「エイヤ」でうまくやってきた

AbemaTVのゼネラルプロデューサーを務める宮本博行氏

 アプリのダウンロード数は700万を突破したものの、週に1度以上AmebaTVを見たユニーク視聴者数は300万人規模。視聴者の規模も、世間へのインパクトも、地上波には程遠い。それでも「テレビマン」の士気はみなぎっている。

 2002年にテレビ朝日に入社、「ロンドンハーツ」や「さきっちょ☆」などのバラエティー番組を手がけ、昨年、AbemaTVのゼネラルプロデューサーに就いた宮本博行氏はこう話す。「地上波の楽しさも知ってるけれど、辛さも知っている。地上波は失敗が許されない。今は常に攻めの姿勢で挑戦できることが楽しい。ここは、使えないやつが来る場所じゃない」

 今のところ、トップダウンの決断を現場は「信じ」ている。この「求心力」はどこから来るのだろうか。

 テレビ朝日の社長は歴代、筆頭株主である朝日新聞からの“落下傘”でしたが、早河会長が2009年、生え抜きで初の社長となりました。そのことが、早河会長の社内人気や人心掌握につながっている、と指摘する声もあります。

早河会長:それは、私の口からは、なかなか言いにくいですね(笑)。ただ、私はわりかし「エイヤ」で新しいことに挑戦するところがあって、悪戦苦闘しながらも、結構、うまくやってきたんですね。

 何も独り善がりでやっているわけじゃないんですけれど、誰も何もやらない時というか、やっぱりこれは自分が決断しない限りダメだなと思うときは、エイヤで素早く決断することも結構あって、結果として、その打率が高かったから認められているということじゃないですかね。

 例えば、「ニュースステーション(注:1985年に放送開始された「報道ステーション」の前身)」の初代プロデューサーを任命されて、伸るか反るかでやりましたが、最初の1年が低空飛行でね。社運を懸けて何だと随分、批判されました(笑)。